原作 |
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監督 |
アダム・シャンクマン |
脚本 |
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キャスト |
ジョン・トラヴォルタ |
ミシェル・ファイファー |
ニッキー・ブロンスキー |
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配給会社 |
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本作は、誰もが楽しめるハッピーなミュージカルなだけではない。今もアメリカに根強く残る人種差別問題を根底に据えつつ、容姿端麗“ではない”主人公がいかに成功への道を辿るかを描いた、社会派ミュージカルとも言えるのである。
舞台は60年代のボルチモア。歌も踊りもずば抜けてイケてる主人公の女子高生は、TV番組に出演することを夢見ていた。だが、問題はその容姿。彼女はとてつもなく太っていたのだった…。そんなことにはお構いなしに、持ち前の明るい性格で夢に向かって突き進む彼女に、様々な困難が降りかかる。果たして彼女は、夢を実現させることができるのだろうか?
…とこう書くと、ハリウッドお決まりの、ありがちな予定調和の成功物語を想像してしまう。ハンディを背負った主人公が目標に向かって進みだすが、途中で悪者キャラに邪魔されて成功を逃がす。…かに見えるが、なんか知らないけど「ありえなくね?」というほどの偶然やら奇跡が、「んなわけないだろ」というタイミングで次々と起きていき、最終的に主人公は成功を手にする。ほらね、心の美しい人、日頃の行いの正しい人は、何があっても必ず成功することになってるんだよ、うんうん…という、例の面白くもなんともないフォーマットである。
本作はそのフォーマットを少しだけ崩し、意外な結末で楽しませてくれる。「外見より内面が大切」という、人生の王道中の王道の示唆は変わらないのだが、人種差別問題を根底に据えているだけに、その示唆もより説得性を増している。単純に楽しむためだけに劇場に足を運んだつもりが、映画が終わってみれば、人間の内面を深く考えされられてもしまうのである。だからこそ本国アメリカではミュージカル映画史上No.1のオープニング記録を樹立することができたのだろう。
また、特筆すべきはジョン・トラヴォルタの特殊メイクだ。『サタデー・ナイト・フィーバー』(77)で一世を風靡した彼だが、本作でも別の意味で時代を沸かせるに違いない。こんなふうに役を演じたのは彼が初だからだ。
彼が特異な姿で役を演じているのと同じように、黒人であるとか白人であるとか、そうした肉体の外見はただの借り物なのかもしれない。人間の本質は中身である…そんな当たり前のことを再認識させられる、深い深い作品なのだ。
・公開 10月20日(土)、丸の内プラゼールほか全国松竹・東急系にて公開
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