原作 |
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監督 |
デイヴィッド・シントン |
脚本 |
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キャスト |
バズ・オルドリン(11号) |
マイク・コリンズ(11号) |
デイヴ・スコット(9号/15号) |
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配給会社 |
アスミック・エース |
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〜月から地球を見た人たちのオヤジトーク〜
さて「ザ・ムーン」と聞くと、ついジョージ秋山のカルトな漫画を思い出してしまう少年サンデー&少年マガジン世代のワタクシではありますが、もちろんソレとは違います「ザ・ムーン」。
このドキュメンタリ映画は、1960年代後半から70年代まで、アメリカで計画、実行されていた月への探索プロジェクト「アポロ計画」に参加し、実際に月へ行った宇宙飛行士(=アストロノーツ)たちやクルーへのインタビューと、NASA蔵出し!というフレコミの写真や動画で構成されている100分ほどの作品である。
正直言えば、なんかディスカバリーチャンネルで放映されている科学者やエンジニアたちへのインタビュー番組のような作りで、目新しさは特に感じない。が、1969年のアポロ11号による月面着陸と、人類が初めて月面に下り立った時の様子を、リアルタイムで見聞きしている我々の世代にとって、アポロ計画のクルーたちの話、アストロノートの経験談などを観ているだけで、当時の自分のこと、世間の事など色々思い出しちゃったりして、もうなんか「ものすごい体験を共有しちゃったんだよー」的な感動を覚えたりするのだ。また巧い事に、アポロ11号が月面に下り立った時の世界の様子など、ニュース映像を交えて見せてくれるのも、泣かせ所というか何というか、オッサンたちのツボ押しまくりな感じの編集が素晴らしい。
それにしても、あんな壮大な計画を立案し、実行した当時のNASAの連中には恐れ入るより他はない。今ではスペースシャトル一機飛ばすのにもヒイヒイ言って、ロシアやヨーロッパ各国、日本などと手を組んでいろいろやってはおりますが、アポロ計画はアメリカオンリーで成し遂げたんだからね。国力というか、勢いがあったんだろうねえ。
さて、この映画の見どころは2つ。ひとつは先にも書いた、NASA蔵出しと言われる映像。これがまたスゴイ。空気というバリアの無いクリアな場所で撮影された月や地球は、それだけで本当に「絵」になる。まさに息を呑む美しさと言うのが解るような気がする。しかもこの美しい映像は、すべて宇宙船に搭載したカメラや、アストロノートたちが撮影したもの、すなわち「撮影の素人」が撮ったものばかり。それなのにこんな美しく素晴らしいなんて!。撮影のテクニックや感情を越えた、圧倒的な広さと美しさと存在感が、このドキュメンタリーの大きな魅力のひとつだろう。
近い将来、宇宙に「撮影のプロ」「映像のプロ」が出かけて行って、プロ用の撮影機材で撮る事ができたら、どんなにステキなものを撮ることができるのだろう。それはきっと今以上に素晴らしいものになるに違いない。スペースシャトルのミッションに「映画カメラマン」とか登用できないものなのかなあ、と思う。
さて、もう一つの見どころはインタビューのシーン。アポロ計画に関わったアストロノートやクルーたちも、今やすっかりオッサン、というかお爺さんクラスに歳を重ねているわけだ。なにしろ、人類が最後に月に行ったアポロ17号が1972年。もう30年以上も前の話だから、ヒトも歳を取るわけであります。
で、そのオッサンたちのトークがまた面白い。正直グダグダなオヤジトークというか、酔っ払いの思い出話みたいな感じなのだが、何しろ話のスケールが途方もなくデカイくて壮大。今のパソコンよりも劣る処理速度のコンピュータ使って月に出かけて帰ってくるって話なんだから、いろんな裏話や苦労話が出てくる出てくる。それらを喜々として語るお爺ちゃんたちの表情はまるで子供のよう。聞いている我々はアポロ計画がいかに成功したかを知っているから、彼らの話を安心して聞いていられるけど、やはり当時の宇宙飛行はまさにイノチガケのチャレンジだったのだと、改めて知る事ができるわけだ。
以上をふまえ、この映画は、劇場の、大きなスクリーンで観るべきである。それはもちろん、月や、月から見た地球、そして宇宙空間の大きさと存在感を、少しでも実際のサイズに近い状態で体験できるからだ。
そして、その壮大な景色を眺めながら聴くアストロノーツのオヤジトーク(笑)。いや、渋いなこれは。渋いです。
公開:2009年1月16日(金)よりTOHOシネマズ 六本木ヒルズ他全国ロードショー
製作:ディスカバリー・フィルムズ、DOXプロダクション、フィルム4、パッション・ピクチャーズ
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