原作 |
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監督 |
水田伸生 |
脚本 |
小森陽一/斉藤ひろし/水田伸生 |
キャスト |
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配給会社 |
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あの見慣れた新橋駅風景が、ここまで崩れ落ちてしまうとは。そのリアルさには目を見張るものがある。
史上最大の巨大台風が日本直撃。地下鉄のホームが崩れ落ち、流れ込む大量の水に人々が流されていく。奇跡的に助かった数人のなかに、元ハイパーレスキュー隊員(伊藤英明)も含まれていた。彼は残った生存者とともに、鉄パイプで「2回、5回、2回」という数を何度も叩き続ける。この数はハイパーレスキューで使われる「生存者あり」の信号だった。来るかどうか保証のない救助を待ちながら、それでも希望を失わずにその数を叩き続ける彼らだったが…。
日本の特撮はハリウッドのそれに比べてリアリティに欠けるというのは定説だが、本作はそんな説をも覆す。新橋駅でごった返すエキストラたちは容赦なく水攻めに遭い、あの見慣れた風景が跡形もなく崩壊する。
日々の何の変哲もない日常がいとおしくなる。否、ループするだけかに見えて何の驚きや新しさもないこの日々さえも、もしかして幸せの形のひとつかもしれない。よくよく考えれば、ルーティンワークでない仕事なんて存在しないのではないか? 朝には日が昇って夜には日が沈むのも、春夏秋冬の順番どおりに四季が毎年廻ってくるのもすべてルーティンだ。そこに取り立てて大きな変化がなく、一見何事もなく時が過ぎていくことも幸せなのかもしれない。
障害のある子どもを登場させるなど、涙を誘うシーンは多々あり、冷めた目で見がちな私でさえ何度も涙をこぼしそうになった。そうした演出がお嫌いの方でなければ、心洗われる作品となるであろう。「足ることを知る」とはよく言われる言葉だが、ともすれば見失いがちなその大切な心がけをまざまざと思い知らされる1作だ。鑑賞後には、新橋で一杯やるのもいいかもしれない。
公開:12月6日、丸の内ルーブル 他全国ロードショー
(c)2008「252」製作委員会
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