原作 |
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監督 |
スティーブン・ソダーバーグ |
脚本 |
スコット・Z・バーンズ |
キャスト |
マット・デイモン |
スコット・バクラ |
ジョエル・マクヘイル、メラニー・リンスキー |
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配給会社 |
ワーナー・ブラザース映画 |
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『オーシャンズ』シリーズのスティーブン・ソダーバーグ×マット・デイモンのゴールデン・タッグと聞けば、映画マニアとしてはもういても立ってもいられない。そしてその期待に違わぬような傑作がまたひとつ誕生した。
名門大学を卒業し、33歳の若さで大企業の重役に上り詰めたエリート、マーク・ウィテカー(マット・デイモン)。農業関係の大会社で世界最大規模を誇る食品添加物の製造工場を任されていた彼だが、ある日何を思ったのか自社の違法行為をFBIIに内部告発してしまう。自ら進んで盗聴器を付け、FBIのスパイ気取りに没頭するウィテカーだったが……。
幼少の頃、親に叱られて咄嗟に「僕は(私は)やっていない!」と口をついて出てしまった嘘。自分に告白して来た相手をフるために、けれど傷つけまいとして、そしてなおかつ自分をカッコヨク見せるために、そしてそしてフッてしまったあとで自分に向けられるであろうマイナスの想念をやわらげるために「ゴメン、あなたのことは嫌いじゃないけど、仕事に専念したいから今は付き合えない」とついてしまう嘘。はたまた高尚なところでは、夢中で遊んでいるために火事になったことに気がつかない子どもたちに、「お前たちの好きなものが屋敷の外にあるから、出ておいで」と嘘をついて助け出したという、“嘘も方便”の語源となった「三車火宅」の喩え。多かれ少なかれ、一度も嘘をついたことがないなどという人はそうそういないだろう。そして多くの人は自分がついてしまった嘘に、少なからずとも良心の呵責があるはずだ。
だが、ウィテカーはそんな可愛いレベルのウソツキさんではない。ウィテカー役を演じたマット・デイモンも語るように、まるでタマネギの皮のように剥いても剥いても違う彼が顔を出す。そして彼は多くの人と違って嘘に対してなんの罪の意識も感じない。そのあたりのモラルがまったく欠如しているのだ。……にも関わらず、全然憎めないニクイ奴、というまったく矛盾したキャラクターを、マット・デイモンが怪演。この独特の雰囲気を醸し出すエッセンスとして成功しているのが、その場のシチュエーションとはまったく関係のないことを考えているウィテカーの内心を「語り」として表現していること。これは脚本家のアイデアなのだが、楽天的なのに悲しく、そしてえらく薄っぺらいウィテカーの人格が見事なまでに伝わってくる拍手喝采ものの演出なのだ。
題材的にはシリアスに扱うことも可能であっただろうが、先に挙げた語りの演出しかり、マニアには垂涎ものの有名どころのコメディアンの多数起用しかりで、『オーシャンズ』シリーズに匹敵するほどの抜群のコメディに仕上がっている本作。ぜひとも劇場でお楽しみあれ。
12月5日(土)、恵比寿ガーデンシネマ他 全国順次ロードショー
(C)2008 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
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