原作 |
―― |
監督 |
ポール・シェアリング |
脚本 |
ポール・シェアリング |
キャスト |
エイドリアン・ブロディ |
フォレスト・ウィテカー |
キャム・ギガンデット、クリフトン・コリンズJr.、マギー・グレイス |
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配給会社 |
日活 |
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人気TVシリーズ「プリズン・ブレイク」の脚本・監督を担当したポール・シェアリングが、世界を震撼させたドイツ映画『es』(02年)の元ネタにもなった実験を題材に、驚くべきリアリズムとスリルにて人間の本質をあぶりだす心理スリラー。
平和主義で反戦デモにも参加するトラヴィス(エイドリアン・ブロディ)は職を失ったばかり。恋人ベイ(マギー・グレイス)とインドへ旅行するため、14日間の日給1000ドルの実験に参加する。温厚で人当たりの良いバリス(フォレスト・ウィテカー)、冴えないグラフィック・ノベル・ライターのベンジー(イーサン・コーン)、女好きのチェイス(キャム・ギガンデット)……24人の男たちがトラヴィスとともに参加したその実験とは、『刑務所と同じ環境で「看守役」と「囚人役」に分かれルールにそって過ごす』というもの。始まりはただの役割に過ぎなかったが、2日目に早くも崩れだす秩序。対立する囚人役のトラヴィスと看守役のバリスを中心に、一歩一歩と極限状態が迫ってくる彼らに訪れる理性の崩壊。そして見守る監視カメラの前で起こった事件とは――?
02年に公開された『es』はサイコムービー的な部分がクローズアップされ、映像もスタイリッシュだったが、本作は、人間の内面に深く入り込んだ作品に仕上がっている。また、『es』では監視役、看守役、囚人役と3方向からの視点でストーリーが展開していったが、本作では監視役の概念を「赤いランプ」で表現。この第三者の視点を省く新たな手法が看守役と囚人役の微妙に変わり崩れてゆく精神状態と心の闇、エゴと本能をリアルに表現している。
『暴力行為が行なわれたら即座に中止される』という条件下で、暴力スレスレのレベルで体罰を加える看守役たち。映画の中で展開する、精神的屈辱の数々は、人間を陥れるのにリアルな暴力はいらないことを、観る者の胸ぐらつかんで見せつける――。
拘束された状況下であくまで理性を保とうとする囚人役に『戦場のピアニスト』でアカデミー主演男優賞を受賞したエイドリアン・ブロディ、温厚で誠実な男が看守役に回って変貌する様を生々しく演じるのは『ラストキング・オブ・スコットランド』にてこちらもアカデミー主演男優賞のフォレスト・ウィテカー。オスカー俳優二人の鬼気迫る熱演も見逃せない。
12月4日(土)ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショー
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