原作 |
『GANTZ』奥浩哉(「週刊ヤングジャンプ」連載・集英社) |
監督 |
佐藤信介 |
脚本 |
渡辺雄介 |
キャスト |
二宮和也 |
松山ケンイチ |
吉高由里子、本郷奏多、夏菜、伊藤歩、田口トモロヲ、山田孝之 |
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配給会社 |
東宝 |
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死んだはずの人々が“GANTZ”に召喚され、地球にいつの間にか入り込んでいる異星の“星人”たちと戦うという摩訶不思議な設定でカリスマ的な人気を誇る、超人気SFアクション・コミック『GANTZ』。GANTZに戦わされる二人の主人公に二宮和也と松山ケンイチがそれぞれ扮し、このたび待望の実写化が実現した。
地下鉄で線路上に転落した酔っ払いを助けようとして、電車に轢かれてしまった玄野(二宮和也)と加藤(松山ケンイチ)。死んだはずの彼らは、なぜか家具も何もないマンションの一室にいた店tねん同じく死んだはずの、他の数人の人々とともに。リビングの中央にはGANTZと呼ばれる謎の大きな黒い球体があり、彼らにミッションを下す。それは「生き残るために星人と戦い、そして殺すこと」だった……。
重厚なアクションと近未来型の武器、わざとチープ感を醸し出しているコミカルな表現、そして主人公たちが暮らすあまり明るくない現実社会、人間関係のドロドロした感情、綺麗ごとに隠された本音、予想どおりにはいかない不条理な展開。それらが相まり、えも言われぬ空気感が観る者を圧倒する。システマティックに見えながらも完璧ではなく、どこか人を小バカにしたようなGANTZは、あたかも現代を生きる若者の象徴のようであり、だからこそヤンジャン(週刊ヤングジャンプ)世代を魅了してやまないのだろう。
主役の二宮だが、『青の炎』や『硫黄島からの手紙』が評価される等、以前から演技力には定評がある。同じく主役の松山ケンイチもその点では言わずもがなで、正義感は溢れているがどこか頼りなく、とても優しい草食系男子ではあるものの、大声では決して言えない過去を背負い、暗いオーラたっぷりのどこか悲しげなキャラを、あの小鳥のような口をとんがらせて好演している。
何よりみどころは彼らの一筋縄ではいかない感情が織りなす軋轢。特に二宮が表情をほとんど変えずに松山に向ける怒りのシーンは素晴らしい。アクションシーンもCGもよくできているが、私としては何よりもこの数秒足らずの怒りのシーンをこそ評価したい。
前後編2部作の編成ということで、前編の本作ではGANTZの世界の仕組みや設定を説明した形だ。後編ではありえない命令や不測の事態も発生し、混沌とした世界観はますますカオスと化していく。 クライマックスの後編に備えるためにも、この前編はぜひチェックしておくことをお薦めする。
2011年1月29日・2011年春 全国東宝系ロードショー(前後編2部作)
(C)奥浩哉/集英社 (C)2011「GANTZ」FILM PARTNERS
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