原作 |
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監督 |
山田洋次 |
脚本 |
山田洋次、森崎東 |
キャスト |
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配給会社 |
松竹(DVDマガジン発売元:講談社) |
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「劇場公開48作を1冊につき1作」プラス「2冊のボーナストラック(渥美清の死後にセルフリメイクされた『寅次郎ハイビスカスの花 特別編』と、テレビドラマ版の初回/最終回)からなる『男はつらいよ 寅さん DVDマガジン』(全50巻)の発売が1月6日から隔週で始まった。栄えある創刊号収録は言うまでもなく第1作目の『男はつらいよ』、である。
20年ぶりに故郷である葛飾柴又に帰ってきた“フーテンの寅”こと車寅次郎(渥美清)。おいちゃん(森川信)、おばちゃん(三崎千恵子)、そして妹のさくら(倍賞千恵子)に再会するも、さくらの見合いをぶち壊したあげく、おいちゃんらと大喧嘩し、また柴又を去っていく。それから訪れた奈良の地で御前様(笠智衆)の娘、幼なじみの冬子(光本幸子)と出会い一目惚れした寅さんは、冬子と一緒に再び柴又へ――。
何年かぶりにこの映画に触れたのだが、非常に懐かしく、そして楽しく観させてもらった。1969年8月公開のこの作品、当時はあまり気にならなかった懐かしい町並みを観るだけでノスタルジックになってしまう。まあ、平成のこの時代には寅さんの下品な言動も気になるのですが(笑)。映画中に出て来る山田洋次監督の小説のタイトルにもなっている『けっこう毛だらけ』は寅さんの名ゼリフ、そのセリフの続きは『猫灰だらけ、○○の周りは○○だらけ』と続きます(笑)。やっぱり下品です! また、すでに1作目から寅さんの世界観が出来上がっており、寅さんのハチャメチャさとギャグの応酬は(御前様が写真撮影をするときの『バター』というセリフは、当時必ず使ってました!)、今でもお腹をかかえて笑える。それでいながら、そこにはなにかあの時代の優しさみたいなものが逆に感じられもする。寅さんのさくらに対する愛、さくらのお兄ちゃん(寅次郎)に対する愛、おいちゃん、おばちゃん、隣近所、地域の人々……一見わずらわしく見えてしまうこれらの繋がりに、合理的なことばかりを求め、核家族化などが進む現代をもう一度見直すことなども考えてしまう。そう、寅さんはただのお笑い映画ではないのだ!
48作品の中の1作目という視点では……源公(佐藤蛾次郎)にまだヒゲが生えてないんです! 当たり前ですが出演者全員が若いので、それも本作のみどころでしょう。まあ、寅さんに関して言えばシリーズを通してあまり変化がないですが(笑)、本作でのさくらのキュートで可愛く初々しい笑顔にはため息がでる。寅さんシリーズと言えば毎回のゲストである“マドンナ”ですが、私にとっていちばんのマドンナは、さくらです。
さて最後に。今回はDVDマガジンということもあって特典映像が満載です。監督インタビュー、“シネマ落語”でおなじみ立川志らくのみどころガイド、また「寅さん旅のあと」では俳優・渥美清の撮影時の秘話なども紹介されている。山田洋次監督の初小説作品であり、寅さんの少年時代を描く『けっこう毛だらけ』(左上の写真は第1作に登場する少年時代のカット。これが繋がるわけですね)の連載に、映画公開時の復刻ポスター……ファンには嬉しい内容が満載ですよ。
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