原作 |
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監督 |
ブラッド・アンダーソン |
脚本 |
アンソニー・ジャスウィンスキー |
キャスト |
ヘイデン・クリステンセン |
タンディ・ニュートン |
ジョン・レグイザモ、ジェイコブ・ラティモア |
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配給会社 |
リベロ/日活 |
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ある瞬間、突然に人々が衣服や生活道具をすべて残して消失する……。この興味深い設定で主役を演じるのは、『スター・ウォーズ』シリーズのヘイデン・クリステンセン。刻一刻と勢力を増してくる「闇」。その中には一体、何が潜んでいるのか。
デトロイトのとある夜。突然の停電のあと、シネコンの映写室にいた映写技師は嘘のような光景を目にする。さっきまでざわめいていた大勢の観客らが消え、床には沢山の衣服や靴が落ちていたのだ。翌朝、TVレポーターのルーク(ヘイデン・クリステンセン)が出勤のために外に出ると、道にはたくさんの車が転がっており、人影は見当たらない。そして日一日と昼の時間は短くなり、夜が長くなる……。
闇とは恐ろしいものだ。そこに何があるかわからぬゆえ、人はそれを恐れる。本作はその闇に潜んで我々に恐怖をもたらすものを描こうと画策する。モチーフとなったのは、実話のロアノーク島集団失踪事件。壁に“CROATOAN”という謎の文字だけを残し、いるはずの住民が全員、忽然と姿を消してしまっていたといういまだ未解決の事件だ。
題材や着眼点、影が別のものに変化していくシーンなどは素晴らしい。だが、生存者の全員が全員善人であるため、これといった人間ドラマもなく、ただ全員が闇から逃げるというだけで物語が進んでいく。……のだが、生き残った者を見ると何がしか思い当たる節があるのだ。これは新手の「ノアの方舟」なのではないか、と。闇がもたらした恐怖の消滅劇は、創造主が新たなアダムとイブを選出するための手段だったのでは、と。ただ、もしそうなのならば、消える人間のあくどさや残る人間の善人ぶりを丹念に描いてくれたら、説得力はもっと増したかもしれない……と老婆心ながら思ってしまったが。
とはいえ、主役のヘイデン・クリステンセンの他、『M:I−2』や『クラッシュ』、『2012』のタンディ・ニュートン、『ハプニング』のジョン・レグイザモらの実力派俳優陣の演技は見ものだ。昼ではなく夜に、しかも家でDVDではなく、まさに闇の中ともいうべき劇場で観た方が、より真実味を帯びて「闇」は貴方に迫ってくることだろう。
2月5日(土)よりシアターN渋谷ほかにて全国順次ロードショー
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