原作 |
ー |
監督 |
ジェームズ・マーシュ |
脚本 |
ジェームズ・マーシュ |
キャスト |
ガエル・ガルシア・ベルナル |
ウィリアム・ハート |
ローラ・ハーリング |
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配給会社 |
ー |
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まるで食事をするかのように、否、あくびをするかのように罪が行われるおぞましさ。真の邪悪とは、このように軽く、あくまでもさりげなく、日常行為のように何気なく行われるのだろう。
海軍を退役した青年は、亡き母から聞かされていた父に会うためにテキサス南部の町に向かう。父は牧師となり、新しい家庭で裕福な暮らしを営んでいた。ようやく会うことのできた父の口からでた言葉は…。
まるで必然かのようにそれは行われ、罪の意識など彼にはない。行われる行為や登場人物の感情とは裏腹の明るい音楽は主人公の心を表し、忌まわしい出来事が劇的に描かれることもなく、淡々と事は進んでいく。彼にとって罪は罪ではなく、それは簡単な料理であり、ついうっかり落としてしまった皿でしかない。罪の深さと主人公の態度の軽さとの対比は、観る者に底知れぬ絶望感をもたらしていく。
「懺悔しよう、愛のために」。このコピーの“愛”とは、他人を愛する愛ではない。男女の愛でも、家族同士の愛でもない。自分へだけに向けた自己愛であり、と同時に彼自身が焦がれ続け、決して手に入れることのできなかった“他人から愛される愛”なのだ。
主役を演じるのは、『モーターサイクル・ダイアリーズ』で英国アカデミー賞最優秀男優賞に輝いたガエル・ガルシア・ベルナル。濁ることない大きな瞳が、罪の意識の薄さをより際立たせる。
…それより何より、私個人的には“鹿の頭”で絶叫してしまいました(心の中で)。これは観てのお楽しみ(?)です。
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