うららの愛Camera

ライカM6とELMARIT-M 28mm F2.8
ほとんどのスナップ写真はこの組み合わせで撮りますね。
写真家・永嶋勝美

2012 / 07 / 05

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ライカM6とELMARIT-M 28mm F2.8
うららの新しいコーナーが始まります! いろいろな方にお気に入りのカメラやレンズのお話などなど聞いちゃいます。第1回は現在「Gallery EM」で写真展「クルマのある風景 Vol.2」を開催中の永嶋勝美さん。

うらら:最初のカメラってなんですか?
永嶋:いちばん最初に買ったカメラは、ニコンのF2。その後、写真家に転向するときにニコンのF3を購入。最初は雑誌関係の仕事をしていましたので、撮影では何を撮るかわからない。なのでレンズはニコンのフィッシュアイから500mmまで揃えました。ファッションの撮影が多くなった時期にハッセルブラッドの6×6を使うようになりました。ハッセルブラッドのレンズは当時40万円くらいしてましたので、なかなか直ぐに買えず、最初は仕事が入ったらその撮影にあったレンズをレンタルで借りていました。その後ジナーの4×5を購入。

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ケースはドイツ製4×5のカメラ・リンホフを購入した時にいただいたもの
うらら:永嶋さんのお気に入りのカメラとレンズを教えてください!
永嶋:今日はライカを一式、持って来ました。この中でいちばん古いレンズが、SUMMICRON-M 90mm F2.0 。まだ、ライカじゃなくてライツといっていた時代のもの。ライカというのはもともとブランド名で、ライツというドイツの光学機器メーカーだった。88年に社名がライカに変わったんですよ。このレンズは描写が良く、開放ぎみだと柔らかく、f4くらいまで絞り込むとシャープになります。絞りは開放ぎみで使うことが多いですね、絞ってもf5.6くらいかな。

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SUMMICRON-M 90mm F2.0
それと、SUMMILUX-M 50mm F1.4とELMARIT-M 28mm F2.8ですね。いちばん頻度が高いのが28mmです。スナップ写真の7〜8割はこの28mmを使います。「散歩の途中で...」というシリーズがスナップ写真の原点なんですけど、基本はこの28mmレンズとボディはライカM6です。M6は88年ころ購入しました。20年以上ずっと使っていますので、その場面ごとに頭の中に浮かんだ映像が自然と手に伝わっています。カメラのことを気にしないで撮影できますね。シャッタースピードと絞りしかないから、後はピントをあわせるだけ。

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SUMMILUX-M 50mm F1.4(左)沈胴式マクロレンズ MACRO ELMAR-M 90mm F4 使っている人は少ないかも?(右)
うらら:市販はされてないんですか?
永嶋:ライカMPというモデルは、まだ、ラインアップにあります。後は、中古品ということになりますね。中古品店のラインアップのメインはライカじゃないですか?
うらら:ライカの特長はなんですか?
永嶋:レンジファインダーなのでミラーがなく、その分、ボディが他の一眼レフなどのカメラに比べ薄いですね。レンズも短いし、レンズ自体の設計に無理がない。一眼レフというのはフランジバックがミラーが入る分だけ長くなり、レンズの設計に負担がかかってしまう。
うらら:そういえば、お父さんのカメラがレンジファインダーのカメラだった!
永嶋:ミラーの振動がないので、1/15秒くらいのスローシャッターも手持ちで撮れます。
うらら:そんなに遅くても大丈夫なんですね!

urara120705_06.jpg 永嶋:フィルム時代のカメラはボディはなんでも良いんですよ。フィルムとの平面性が完璧で、正確なシャッターが切れればいいんです。ボディでは描写は変わらないから、ただの箱ですね(笑)。使いやすさが良ければそれでいい。描写はレンズとフィルムで決まります。
うらら:今のデジタルカメラとは考え方が違うんですね!
永嶋:あれはカメラじゃないから、映像機器ですから。写真を撮る機械のことをカメラ(日本語で写真機)。写真ってどういうもの?
うらら:えっと……。
永嶋:印画紙にプリントされているものが写真です。デジカメはデータを作る機械で写真機とはいえない。私が勝手に言ってるだけですけどね(笑)。
うらら:なるほど〜! 他に特長はありますか?
永嶋:ライカってボディが無垢なんです。
うらら:無垢?

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ミラーのないレンジファインダー/つなぎ目のないボディ
永嶋:つなぎ目のないってことです。この形の金属をくりぬいて、上下にカバーがあるだけ。だから、壊れることがほとんどない。54年発売のM3からほとんど同じ形で、M5でちょっと変わったのかな? 後は巻き取りの部分が違うだけですかね。
うらら:だから、報道写真で活躍したんですね!
永嶋:私はこうやって、(写真参照)片手で持ち歩いてます。
うらら:どうやって持つんですか?
永嶋:手のくぼみにボディを乗せて、中指から小指の三本で支える。そうすると、人差し指が自然とシャッターの上にきます。
うらら:ほんとだ! すごーい!
永嶋:ライカ以上の人間工学的に優れたカメラは、ないんじゃないかな?

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ARTISAN & ARTISTのACAM-200のストラップ。革製なので、使い込んでいくと、だんだん柔らかく手に馴染んでくる。ライカの赤いロゴをマジックで黒く塗ってます

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ライカ MP LHSA ハンマートーン/ハンマーで叩いたような柄の特殊加工を表面に施したMPの限定版


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「散歩の途中で...!」シリーズ「もう一つのパリ」より、#119
Leica M6 / Elmarit-M 28mm F2.8 f/5.6、1/125、TMY


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「散歩の途中で...!」シリーズ「時の足跡(Pérouges)」より、#080
Leica M6 / Elmarit-M 28mm F2.8 f/5.6 1/2、1/60、TMY


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「Cruising」2007 issue of the Pacific Ocean.より、#417
Leica M6 / Elmarit-M 28mm F2.8 f/5.6 1/2、1/500、TMY


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プロフィール
永嶋勝美(Katsumi Nagashima)
1953年生まれ 東京都出身
デザイナー・アートディレクターを経て1980年写真家に転向、ファッション・静物を主とした広告写真を手がける。89年より一時期をパリで過ごし、帰国後は作家活動に専念し、デジタルフォトも本格的に始める。仏トネル市よりメダル授与、他受賞歴多数。90年代に多くのモノクロ技法と関わり2000年よりDGSM Printの開発を開始、現在はテクニカルアドバイザーとしても活躍中。
公益社団法人日本広告写真家協会正会員
公益社団法人日本写真協会会員
一般社団法人日本写真学会会員

永嶋勝美 写真展 現在開催中
「クルマのある風景 Vol.2」
Mille Milia in Italia

場所:Gallery EM nishiazabu
期間:2012年6月19日〜 7月7日(日・月曜日休館)
時間:12:00〜18:00
住所:〒106-0031 東京都港区西麻布 4-17-10
電話:03-3407-5075
作品内容
1988年〜1992年のMille Miliaを撮り下ろした作品。
クルマを愛する人々とイタリアの街並み、イタリア特有の乾いた空気の中、そしてしっとりとした小雨の中、作家が感じたそ の場の空気感をモノトーンで再現。
作品はオリジナルのカラーポジフィルムをスキャニングした データから、作家自身が開発したデジタル・ゼラチンシルバー モノクロームプリント(DGSM Print)技法にて銀塩モノクロバ ライタ印画紙にプリントされたオリジナルプリントでの展示。

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