うららの愛Camera

Canon EOS-1Ds Mark III装填、デジタル5×7 BALIdeep仕様!
レンズはEF85mm F1.2L USM。背筋が伸びるカメラ!
写真家・ZIGEN

2012 / 11 / 01

urara121101_01.jpg 今回は、来月11月10日(土)よりバリ島で開催の「BALIdeep」に写真展示をされるZIGENさんに、バリ島での肖像写真撮影に使用した、不思議なカメラについてお話をうかがいました。

うらら:初めて出会ったカメラから教えてください!
ZIGEN:小学校4年生の誕生日に、コニカC35を買ってもらい、旅行に出かける時などに撮影してましたね。6年生のころには、父親が現像用品を一式持っていたこともあって、押し入れの中でフィルム現像をしていました。中学時代は写真部で、レンズ交換のできる、一眼レフカメラのペンタックスSPを使って、女の子を撮影してましたね。
うらら:中学生から、すでに女子を撮影してたんですね〜。
ZIGEN:高校時代は仲間とバンド活動をして、カメラの経験があったので、私がライブ写真などの撮影をしてました。その後、大阪写真専門学校(現在のビジュアルアーツ専門学校・大阪)で写真を学び、卒業後は東京でスタジオマンに……。22歳で渡英し、1カ月後にフランス・パリへ。ピーター・リンドバーグのアシスタントを3年務めて1985年にパリでデビュー。最後の一年間は作品撮りで、その時にはニコンFE2を使ってました。当時パリでは、第一線のカメラマンがひしめき合っているので、私たち新人カメラマンはミラノとパリを行き来して仕事をしました。その後、パリを拠点に東京と2カ所でファッション誌の仕事を10年ほど続けました。カメラはキャノンNEW F1を移動時に持ち歩かなくても良いように、パリと東京で2台づつ使って撮影しましたね。日本に帰国してからは、中判カメラで撮影するようになるんですけど、フットワークが悪くて……。私の作品の中で『世紀末肖像』というシリーズがありますけど、これは8×10フィルムで撮影しました。カメラありきじゃなくて、目的があって、そのカテゴリの中で自分にいちばんあったものをチョイスするようにしています。逆に現在、仕事で使っているカメラは、掲載される紙面を考えたら4000万画素とかの高解像度のカメラは必要ないってことですね。

※『世紀末肖像』写真展は1999年8月24日〜29日まで南青山スパイラルホールで行なわれた。
この会場では8×10フィルムで撮影された肖像写真を等身大に引き伸ばし135人の「世紀末肖像」が展示された。

urara121101_02.jpg うらら:今回、紹介していただける、この不思議なカメラは?
ZIGEN:キャノン EOS–1Ds Mark IIIに、レンズはEF85mm F1.2L USM。それに中古カメラ店で購入した5×7フィルム用のジャバラにそのカメラを装填しました(下記、作品撮影時には、Canon EOS–1Ds Mark II使用)。
うらら:面白いですけど、それは、どうしてですか?
ZIGEN:2005年に、代官山ヒルサイドフォーラムから始まった『BALIdeep』展は、バリ・ウブドのプリルキサン美術館で開催されることとになり、また、その後10年間、継続されることも決定しました。第1回目に、4×5フィルムや6×4.5フィルム等で撮影したバリ島の風景写真を展示しましたが、展覧会での風景写真は4〜5年かけて撮影をした作品でした。自然を撮影するということは、条件が揃わないと叶わないこともあって、1回の訪問で、1〜2枚程度しか作品になる写真が撮れないんです。それを考えると2回、3回と続けるためには人物の撮影が必要だと思いました。
うらら:風景写真は天候に大きく影響されますからね。

urara121101_03.jpg ZIGEN:1930年ころ、ヨーロッパから音楽家や芸術家がバリ島を訪れました。その中で、ドイツの画家、ヴァルター・シュピースは、もともとあった舞踏を観光客向けにアレンジして、それがケチャック・ダンスなんです。また、シュピースをはじめ彼らが住民たちに絵を教え、現在のバリ島を代表する絵の元になったともいわれています。そのヨーロッパからの音楽家や芸術家たちと、バリ島のスカワティ王家が仲良くなったこともあって、ウブドが芸術の街になっていったんですね。
うらら:ポートレート撮影は、どんな感じでしたか?
ZIGEN:最初は地元のダンサーを撮影していましたかど、ちょっと違うのかなって……。
作品として残すには、スカワティ王家を始め、僧侶、バリス舞踊のトップダンサーなど、バリを代表する錚々たる顔ぶれが必要だと。
それに見合うカメラを考えた時に、以前『世紀末肖像』という作品で8×10フィルムで撮影したこと思い出しました。しかし、カメラが重く大きいということと合わせてフィルムもかさ張ってしまうので、バリまで運ぶのはちょつと無理かなって。そんな時に8×10フィルム用のジャバラにデジタルカメラを入れてしまったら、どんな感じになるだろうって……。

urara121101_04.jpg 時代はデジタルになっていましたしね。試したら上手く収まりましたが、やはり8×10は大きかった。それより小型の4×5フィルム用のジャバラには入らず、思案の末、自分では持っていない、5×7フィルム用のジャバラに入れることにしました。中古カメラ店でいちばんコンパクトにたため、ウッドの枠で安価なものということで探したのが、このジャバラです。画質のクオリティでは、キャノン EOS–1Ds Mark IIIですが、5×7フィルム用のジャバラを付けることによって何が変わるかというと、撮られる側の背筋が伸びるということだけですけどね。
うらら:なるほど!
ZIGEN:でも、そこが重要なんです。現場で8×10のカメラが“ドーン”とあると、このカメラで撮影されるんだという緊張感が生まれます。武道ではないですけど、カメラを構えた時に、相手と一戦を交えるというか、対峙するという感覚になりますね。日本でも、ここぞって時に使おうかと思っています。最終的には薄型の液晶モニターを付けてよりリアルな感じにしたいですね。
うらら:このカメラに名前を付けるとしたら……。
ZIGEN:デジタル5×7 BALIdeep仕様かな……。

urara121101_05.jpg
実際にバリで使用時に撮影

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Gusti ayu sri Bidani
Canon EOS–1Ds Mark II EF85mm F1.2L USM f3.5 1/250 ISO320

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Tjokorda Sukawati
Canon EOS–1Ds Mark II EF85mm F1.2L USM f3.5 1/1000 ISO320

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Anak Agung Gede Oka Dalem
Canon EOS–1Ds Mark II EF85mm F1.2L USM f5.7 1/125 ISO200


urara121101_10.jpg プロフィール
ZIGEN

1959/APR born in Hyogo Japan
1978-1980 Visual Arts Osaka
1980-1982 Aoyama Studio Tokyo
1982/FEB London
1982/APR Paris
1982-1985 assistant of Peter Lindbergh in Paris
1985 Freelance Photographer in Paris
1993- ZIGEN写真事務所設立
1999 『世紀末肖像』個展開催@スパイラルホール
2001 『世紀末肖像』個展開催@ビジュアルアーツギャラリー
2005 『BALIdeep』展開催@代官山ヒルサイドフォーラム
2005 第1回『BALIdeep』展開催@Puri Lukisan Museum BALI
2006 第2回『BALIdeep』展開催@Puri Lukisan Museum BALI
2007 第3回『BALIdeep』展@Puri Lukisan Museum Bali   
2008 第4回『BALIdeep』展@Puri Lukisan Museum Bali   
2009 第5回『BALIdeep』展@Puri Lukisan Museum Bali
『小豆島』展@UP FIELD GALLERY
2010 第6回『BALIdeep』展@Piri Lukisan Museum Bali
2011 第7回『BALIdeep』展@Piri Lukisan Museum Bali
2012 第8回『BALIdeep』展@Piri Lukisan Museum Bali

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BALIdeep会場内の様子

urara121101_11.jpg 『BALIdeep展 2012』
開催日:2012年11月10日(土)〜1月10日(木)
開催場所:バリ・ウブド・プリルキサン美術館

【BALIdeep】
●Concept
―思考することをやめ、感じてみる―
時間と空間は絶えまなく変化し情報の渦は私達を飲み込みさらに肥大化しています。私達の知覚はこの環境や情報によって常に平均化されコミュニケーションのツールとして記号化されます。グローバリゼーションは都市という機能の中で人間の知覚を画一化することでより便利にスピーディーにという方向に向かっています。この都市に寄生し依存して生きざる得ない私達に、考えることを停止する瞬間は訪れるのでしょうか?
東京では減多に見ることのできない赤紫色に染まった夕焼けの空を見た時、そこから今までにない「美しい」という感動を得るのは全人類が持っている原始的な感覚ではないでしょうか。その瞬間、思考することをやめ感覚だけになっている自分を感じるはずです……。

●Story
スタートは2000年に遡ります。友人のクリエイターや作家同士でBaliに訪れたのがきっかけです。Baliを訪れたクリエーターはBaliにハマってしまい住み着いてしまうというような事をよく聞きます。私達も初めは同じだったかも知れません。ただ何度か訪れるうちに、皆がみな作品を創りたいと思った気持ちは自然な感覚でした……。
(※facebookより抜粋)

公式HP:http://www.balideep.jp/
facebook:https://www.facebook.com/balideep1

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