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うららの愛Camera
レンズは、Planar 50mm F2 ZE
自分が大好きなカメラマンのレンズを使ってみたかった。
ボディは、Canon EOS 5D MarkIII
料理家・本田よう一
2013 / 05 / 13
今回は、福島県のごはんをめぐる素敵な物語をみなさんにお届けする“ふくごはん”(http://www.fuku-gohan.net)など、多彩な取り組みを見せる料理家・本田よう一さんがご登場。カメラマンとしても写真の撮影をされている本田さんに、大好きなカメラの話から料理家としての料理写真の話まで、様々な話をうかがった。
うらら:カメラとの出会いを教えてください!!
本田:最初は、レンズ付きフィルムの“写ルンです”でしたね。毎日持ち歩いて、空を撮ったり、風景を中心にアート気分で撮影していました(笑)。その後、自宅近くにオリンパスの工場があった影響もあり、入学祝いにオリンパスのAPSフィルム用カメラ、OLYMPUS CENTURIONを買ってもらいました。そういった時代でしたね〜。
高校では、美術部と水泳部に所属。美術部では、写真を中心とした活動をしていました。卒展で学校の校舎を撮った作品を発表。とても気に入った作品でした。
高校卒業後は、栄養士の専門学校に進みました。
うらら:どうしてカメラの学校ではなく栄養士の専門学校に進まれたのですか?
本田:高校時代、姉が2人とも上京していたため、祖母と父と母と4人暮らしでした。「誰が晩ごはんを?」ということになり、父は自営業で忙しく、母は介護福祉士の仕事で夜が遅く、祖母は体が弱かったため、「じゃあ、俺かぁ〜」ってことで、平日の夕食は、ほとんど私が作っていました。料理を作ることが好きだったこともありますけど。
田舎だったので、近くにコンビニがあるでもなく、家にある材料で作るって感じでしたね。“料理男子”のはしりみたいな時代で、凝った料理を作り始めていました。週末に一週間分の食材をまとめて買ってきて、最初は冷蔵庫にたくさんあるから良いけど、だんだんとなくなっていく週末は、試行錯誤してメニューを考えました。それが私の料理家としての礎ですね。趣味と生活の両方が料理だった。私にとっては、食材がおもちゃでしたね。母から「これからは介護の仕事が増えるから、栄養士の免許を持っていれば、田舎に戻って来ても仕事ができるんじゃないの?」ってアドバイスもあり、上京して栄養士の専門学校に進みました。
うらら:そのころの得意な料理は何ですか?
本田:角煮とスペアリブはよく作っていましたね。あとは餃子と肉野菜炒めかな。高校生が作る料理は、高カロリーなので、祖母がどんどん太っていった(笑)。自分が食べたい料理を作りますからね。
うらら:その後、カメラの道へは?
本田:美術部に入っていたこともあって、友人や先輩が東京の美術系の大学に進学していたので、グループ展などに一緒に参加しないかって誘われることがありました。そのことが、また写真を始めるきっかけになりましたね。井の頭公園のフリーマーケットで写真を売ったりもしていましたよ。
また、ライブのブッキングをしている先輩がいて、そのライブの撮影をさせてもらっていました。そこで「アジアン・カンフー・ジェネレーション」の撮影を1年ほどしましたね。2000年ころだったと思います。
後は、知り合いのブライダルなどを撮影したり……。ブライダルを撮影するようになって、デジタルカメラのCanon EOS 5Dを購入しました。
本田:当時は人物を中心に撮影していましたが、私の師匠でもあるカメラマンに作品を見せたところ「お前、下手だな」って言われてしまい「えっ! そうなの!?」って……(笑)。「地方だとなんでも撮れないと仕事にならないけど、東京なら専門で成り立つから、好きなものを選んで、専門のカメラマンになればいい」とアドバイスをいただきました。自分はもともと料理が好きだったことを話し、そういう経緯もあり「だったら料理を撮るカメラマンになったらいいんじゃないか」と、またまたアドバイスをいただき、ダブルワークでお金を貯めて、カメラ道具を一式買って作品撮りを始めました。
うらら:料理カメラマンとしての第一歩ですね!
本田:自分でスタイリングして料理を作り撮影をして、料理のことを知っているカメラマンということを売りにレシピも付け、いろいろな料理雑誌の出版社に営業に行きました。ある出版社で、私のブックを見た編集の方が「いいよこれ! 写真はちょっとやめてレシピだけ書いて持っておいでよ」ってことに。今となっては、「写真がヘタくそってこと?」って思ったりも……(笑)。
うらら:それは料理が良いってことでしょ〜(笑)。
本田:そうですか〜?(笑) ちょっと変わった料理を作ったりしていましたし、栄養士の免許も持っていることも伝えてたからかな〜。
最初に撮影していただいたカメラマンさんに「一枚の写真で(料理の完成写真)、どんな風に材料が切れていて、どんな風に加熱されていて、どんな風に味が絡んでいて、どこから食べてほしいかがわかるように盛りつける」という言葉をいただきました。
うらら:なるほど! 奥が深い!
本田:見ただけで、この料理だったら自分でも作れそうだって思っていただかないといけない。そうしないと再現してもらえなくなるので、そのバランスが整っている写真とレシピが大切。
うらら:あまり凄すぎるレシピでもダメなんですね。
本田:「私はこの料理は作れない」ってことになると、僕らの存在意味がなくなってしまう。平凡すぎると、逆に「これなら、もう私は作れる」ってことになりますしね。
うらら:微妙ですね〜。
本田:その微妙なさじ加減で、媒体の読者層や季節などから料理の内容を考えていきます。4品ほど作らせていただけるときなどは、ちょっと簡単なものから、少し難しいレシピまでバランスをとりますね。
うらら:また撮影をされるようになったきっかけは?
本田:“ふくごはん”など、地元・福島から発信をする取り組みを始めて、そうするとトータルに出来ないと仕事が成り立たないので、また自分で撮影するようになりました。料理教室を開くときなどもレシピに写真が付いていると説得力がありますしね。
うらら:“ふくごはん”はいつからですか?
本田:去年の4月からですから、もう1年経ちますね。福島の野菜を中心にして、普通の料理雑誌では取り上げにくい食材を使いながらの取り組みは楽しいですね。今やっているのは牛乳ですから(笑)。農家さんの取材もあります。
うらら:それでは、本田さんのお気に入りのカメラとレンズを教えてください!
本田:カメラのボディはCanon EOS 5D MarkIIIです。レンズは、ズームレンズがCanon EF24-70mm F2.8L USM。単焦点レンズがCarl Zeiss Makro Planar 50mm F2 ZE、Canon EF100mm F2.8Lマクロ IS USM、Canon EF35mm F2 IS USMです。
取材のときは、動きについていけるように24-70mmを使っています。料理はしっかりと構えて撮影できるので50mmを使い、商品撮影には100mmマクロ。35mmは趣味ですね〜、レンズが重いですから(笑)。趣味の撮影は歪んでいてもそれはそれでアリかなって感じで、35mmを使います。
50mmレンズでMakro Planar 50mmを選んだ理由は、大好きなカメラマンのレンズを使ってみたかったからですね。
いろいろな方に「レンズはどうやって選ぶの?」って尋ねたときに、カメラ雑誌に掲載されている写真の中で気に入った写真を捜して、そのカメラマンの使っているレンズを使うことがいちばんだとよく言われましたね。
料理も同じことで、レシピ本をいきなり買う人ってそんなにいないですよね。料理雑誌を広げて、何人かの先生の料理から、気に入った人を見つけ、それから、その先生の本を買ってみようかなって。
このレンズを使って前後バッチリとピントを合わせて撮影する人はいないと思います。この独特なボケ味が好きな人がこのレンズを使う。
最初に選ぶレンズはなんですか?って聞かれたら、料理を撮るならPlanar 50mm F2 ZEと私だったら答えます。
『チキンミルクスープカレー』
Canon EOS 5D Mark III Makro Planar 50mm F2 ZE f5.6 1/100 ISO200
『ブロッコリーの芯と桜えびのかき揚げ』
Canon EOS 5D Mark III Canon EF24-70mm f/2.8L USM f5.6 1/125 ISO200
『うどとちぎりハムのディルマヨネーズマリネ』
Canon EOS 5D Mark III Makro Planar 50mm F2 ZE f5.6 1/125 ISO100
プロフィール
本田よう一(Youichi Honda)
1983年生まれ福島県泉崎村出身
高校を卒業した後、栄養士の専門学校に進み、栄養士の免許を取得。卒業後は独学で、料理写真を学び、フリーカメラマンに。 2006年からは料理家として仕事を開始。野菜をたっぷり使い、素材の味を活かしたレシピを得意とし、 家族みんなで楽しめる味付けに定評がある。現在は料理家として食べてくれる人にやさしく、作ってくれる人にもやさしくをモットーとしている。「あったかふくしま観光交流大使」として活動中。
ホームページ:http://youichi-honda.com
ふくごはん:http://www.fuku-gohan.net
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エンタメ : うららの愛Camera 記:中村 うらら