シネマピア
スーパーマン リターンズ
スーパーマン。スーパー=極上の、非常によい、一流の、すぐれた、最も強力な、マン=人間(プログレッシブ英和中辞典)。なんでもできる、神さまみたいな存在の代名詞だ。
こんなにわかりやすいヒーローの名称が他にあるだろうか?「あの人はなんでもできて、スーパーマンみたい。」「スーパーマンじゃないんだから、失敗ぐらいするって。」とは言うことがあっても、「きゃ?、カッコイイ! 超人ハルクみたい。」だの「バットマンだってミスるんだから、気にするなよ。」などと言うのはあまり一般的ではない。それだけ“スーパーマン”の言葉は他のヒーローたちより抜きん出ている。観念に根付いているのだ。
だが、この卓越したヒーローのことを正確に知っている人はどれだけいるだろうか? 本作の直前にスーパーマンが上映されたのは19年も前。スーパーマンについて詳しく述べよ、と言われてスラスラと語れる人もまた少ないだろう。うろ覚えで当然な年月が流れている。にもかかわらず、日常生活で何の気なしに使えてしまうこのワードは、それだけでスーパーな存在なのだ。
ヒーローものを観て我々が得るものは爽快感、そして癒しであろう。愛する者が離れていく悲しみ、自分が社会から必要とされていない疎外感…。現代社会に生きる我々にも該当するようなシチュエーションのなか、神さまみたいな存在のはずのスーパーマンはどう戦っていくのか? 潔く、躊躇いなど微塵もなく、妙な理屈をこねくりまわすこともなく、万人の心の奥底にある“善”の思いを“正義”という形で実現していくその姿。“善”をそのまま実行することが、現代においてはスーパーなことなのかもしれないこの時代。数え切れない判断の積み重ねの延長線上に築かれていく我々の人生だが、その判断基準としていちばん大切なこと、人間としてのあるべき姿をストレートに指し示されることで、大きな安堵がもたらされるのだ。
“本物”そっくりの新生ブランドン・ラウス、アカデミー賞に二度も輝いた名優中の名優ケヴィン・スペイシー、そして『X-MEN』シリーズで培ったブライアン・シンガー監督の経験がすべて注ぎ込まれた本作。家族ぐるみで楽しめる作品だ。
スーパーマン リターンズ(Blu-ray)
監督:ブライアン・シンガー
出演:ブランドン・ラウス/ケイト・ボスワース/ケヴィン・スペイシー
ジャンル:洋画
公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/supermanreturns/
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