シネマピア
ディパーテッド
甘いだけのイケメン俳優ではなくなったディカプリオの登場である。息もつかせぬ心理戦のなかで見せる表情、仕草、体中からあふれるオーラのすべてが、今までとは一味も二味も違うのだ。
警察に潜入したマフィアの男と、マフィアに潜入した警察の男。立場が真逆の二人の男の苦悩を濃密に描く本作は、『インファナル・アフェア』に着想を得て新しく練り上げられたストーリーだ。
ディカプリオが扮するのは、マフィアに潜入した警察の男。警察に潜りこんだマフィアの男(マット・デイモン)が、警察という比較的安全な隠れ蓑でぬくぬくとその身を守られているのに対し、ディカプリオが置かれた環境は、正体がバレれば即、死が待ち受けているマフィアの懐だ。明らかに分が悪い一触即発の状況に、少しも気が休まる暇がない。気がおかしくなりそうなその心境を、ディカプリオはわずかな表情の動きだけ…いや、動いてさえいないかもしれない、その心の動きだけで観客に伝えてくる。その演技は、それまでの彼自身を超えている。
ディカプリオとマット・デイモンという二人の実力派俳優の“演技の攻防戦”は、手に汗にぎるほどの迫力だ。マットは演技の勉強のために本物の捜査官とともに実際の麻薬取引の現場に足を踏み入れるなど、プロデューサーをヒヤヒヤさせるほどの入れ込みよう。ジャック・ニコルソンの怪演もこの上なくいい。そして、マーク・ウォールバーグ! 「もう1回観たい」と思わせてくれるのは、この人がいるからこそだ。
登場人物のそれぞれが腹の中に何かを抱え、最後の最後にそれらが爆発し、とんでもないどんでん返しに度肝を抜かれる。まさに王道の中の王道のハリウッド映画なのだ。
ディパーテッド(Blu-ray)
監督:マーティン・スコセッシ
出演:レオナルド・ディカプリオ/マット・デイモン/ジャック・ニコルソン
ジャンル:洋画
公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/thedeparted/
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