シネマピア
アイアンマン
通常スーパーヒーローものといえば、スーパーマンやスパイダーマンやのように何か特殊な力を持っていたり、もしくはガンダムやエヴァンゲリオンのように強いメカを操ったり…と、とにかく人間を越える力で他を凌駕し、正義を実現する。だが本作はそうした一般的なスーパーヒーローものとは異なり、主人公は自分の力だけで“強い自分”となり、悪に立ち向かっていくのだ。
巨大軍事企業の社長であり、天才発明家であり、スーパー・セレブとしての生活を謳歌するトニー・スターク(ロバート・ダウニーJR.)。新型兵器の実験のためにアフガニスタンへ飛んだ彼は、テロ集団に拉致されてしまう。その天才的頭脳を駆使してスクラップからある物を作り出し、なんとか脱出しようと試みるが…。
自分が普段生活している世界とはまったく異なる設定の世界観やそうした登場人物の生き方に心を委ね、ある意味人生をリセットすることによって得られる“リフレッシュ感”というものが、映画の効用でもあるだろう。
本作の主人公は生まれつきの天才的頭脳を持ち、綺麗なオネエチャンとイチャイチャし、おいしい酒と料理に毎日のように舌鼓を打つ…という、いわば全人類の究極の憧れ(?)のような生活を送っている。そんな彼の立場があるときから一転し、どん底に突き落とされそうになってしまう。
再起からの出発はよくあるフォーマットどおりのシナリオだが、ここでお決まりの奇跡もどきが起きることなどなく、主人公は自分の力だけで這い上がっていく。ある意味、我々の立場をも投影しうるような等身大のヒーローなのである。先に述べた“リフレッシュ感”に加え、もしかしたら自分も自分だけの力で、人生の苦境を打破できるかもしれない…そんな希望をも与えてくれるのだ。
また、主人公は自分自身が作りだした兵器によって苦しみ、悩まされ、結果、アイアンマンという存在を世界に必要なものと認識するに至る。こうした自己矛盾を孕んだキャラクター設定も、大多数の人間が持つであろう人生の矛盾と相まって、ヒットの要因となったのであろう。
劇中に現れるビジネス誌の表紙に写る主人公は、エラくクールでセクシーでカッコよすぎでもある。阿部ちゃん(阿部寛)にも似てるけどね。
アイアンマン(Blu-ray)
監督:ジョン・ファヴロー
出演:ロバート・ダウニーJR. /テレンス・ハワード /ジェフ・ブリッジス
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
ジャンル:洋画
公式サイト:http://www.ironman2.jp/
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