シネマピア
センター・オブ・ジ・アース
SF小説の名作、ジュール・ヴェルヌの『地底旅行』で描かれた世界を、3Dという脅威の映像で生々しくリアルに追体験させてくれるのが本作だ。
アイスランドで地質学の調査を行っていた科学者と甥っ子と地元ガイドは、洞窟の中に閉じ込められてしまう。なんとか脱出できないものかと模索するうち、ヴェルヌが示していた地底世界が出現する。巨大な恐竜や未知の植物、蛍光色に光る鳥、そして大海原。地上では見ることのできない光景に3人は驚くのだが、どうにかして地上へと辿り着かなければならない…。
ブルーレイ・ディスクやホームシアターの普及により、観客の劇場離れに拍車がかかっている昨今。どうにか客離れを防ごうと映画人たちがアタマを捻って編み出したのが、本作の売りでもある3D映像。この方式の映画の難点といえば、赤と青の特殊な眼鏡の使用により頭痛や眼精疲労などの問題がつきまとうことだった。だが、今回の本作の眼鏡は両目とも薄いグレーであり、本編終了までまったく疲れず、何の問題もなく見ることができた。飛び出してくる地底生物たちは、手を伸ばせば触れるような錯覚さえ覚えるほどだ。
ただ、技術は見ているうちに慣れてきて当たり前のことになってしまう。そこで問われるのが作品力だ。どんなに高技術であっても、肝心の作品の質が見劣りするものであれば客離れは止められない。本作はどうか? 細かいことを言いだせばキリがないが、家族みんなで楽しむ「ファミリーもの」というジャンルとして観るならば、申し分ないクオリティだ。大人が観ても、厳しい現実を忘れさせてくれる良質なエンターテイメントであることは間違いないだろう。
主演のブレンダン・フレイザーといえば、で広く名を知られているアクション俳優。ハムナプトラは砂漠だし、今回は地底だし…と、岩だの砂だの鉱物だの土だの、ブレンダンはそうした題材に縁があるようだ。そんなふうに考えながら観ると、あのドッシリとした顔立ちは岩に似ているように見えてくるかも? キャスティングは、題材との相性も重要ポイントとなるのだろう。
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地底旅行(文庫)
原作:ジュール・ヴェルヌ『地底旅行』
監督:エリック・ブレヴィグ
出演:ブレンダン・フレイザー /ジョシュ・ハッチャーソン /アニタ・ブリエム
ジャンル:洋画
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