シネマピア
チェ 28歳の革命/チェ 39歳 別れの手紙
「もしわれわれが空想家のようだといわれるならば、救いがたい理想主義者だといわれるならば、できもしないことを考えているといわれるならば、何千回でも答えよう、そのとおりだ、と。」キューバ革命を成功させた20世紀最大のカリスマ、チェ・ゲバラの言葉だ。
『チェ 28歳の革命』『チェ 39歳 別れの手紙』は、この大いなる革命家が勝利の旗を手に入れるまでと、その死を克明に記した2部大作である。『チェ 28歳の革命』では、キューバ革命から国連総会でのスピーチまでの道のりがダイナミックに描かれる。一方『チェ 39歳 別れの手紙』では、彼が最後のゲリラ戦で命を落とすまでを、ドキュメンタリーと見まごうほどに克明に綴っている。
監督のスティーヴン・ソダーバーグ、そして主役のチェを演じ、また今回はプロデューサーとしても名を連ねているベニチオ・デル・トロは、チェに関して書かれている書物を読み漁り、チェを実際に知っている人々から話を聞き、そしてチェ自身が書いた書物を熟読し、本作を製作した。初期の頃から製作に携わっていたデル・トロは、結果、リサーチまでに7年間を費やしたという。
ソダーバーグは「僕がどうしても観客に伝えられなかったもの、それは臭いだけだ。僕らが勝手な想像力ででっちあげたようなシーンはひとつもない。」と語る。その言葉どおり、スクリーンからはリアリティが滲み出し、デル・トロ演じるチェのオーラがひしひしと伝わってくる。まるでチェがデル・トロの肉体を借りて自ら出演しているかのように。
かくして、私たちは映画を観るというこの目を通して、彼の生涯を追体験していく。革命を成功させた歓喜、最後の死の直前のその思いまでをも。
そして、死と引き換えにしてまでも達成させたい目標が、自分の人生の中に果たしてあるのだろうか、と思い至る。チェほどの崇高な目標でなくとも、たとえささやかなものであろうとも、達成させたい何か。もしそれがあるのならば、それだけで、たとえ目標に達することがなくとも、それだけで幸福なのだろう、と。
チェがまだ若き日、泊まるあても金もないまま友人とともに中古バイクで10,000キロを旅したことがある。ガエル・ガルシア・ベルナル主演でその旅を綴ったのが『モーターサイクル・ダイアリーズ』だが、これと併せて本作を楽しめば、より彼の人となりが伝わってくることだろう。
チェ ダブルパック「28歳の革命」「39歳別れの手紙」(DVD)
ソダーバーグ監督、チェ役のデル・トロ来日記者会見!
監督:スティーヴン・ソダーバーグ
脚本:ピーター・バックマン
出演:ベニチオ・デル・トロ /デミアン・ビチル /ジュリア・オーモンド
配給:ギャガコミュニケーションズ×日活
ジャンル:洋画
© 2008 Guerrilla Films, LLC?Telecinco Cinema, S.A.U.
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