シネマピア
消されたヘッドライン
ジャーナリストという職業は、真実をありのままに伝えることこそが使命だ。だが、そこに私的感情が絡んだらどうなるのか。スキャンダルにまみれた取材対象が親友だったら、果たしてどうなるのか。スポンサーの意向に沿わない記事は、葬られてしまうしかないのか。
ある女性の死亡事故。ワシントン・グローブ紙の新聞記者たちは彼女と国会議員のスキャンダルを追ううちに、前夜に起こった別の殺人事件との接点に気づく。その謎が徐々に解き明かされるうち、彼らは驚愕の事実に辿り着くが……。
新聞記者のラッセル・クロウと国会議員のベン・アフレック。この二大巨頭を引っさげ、緻密な脚本と数々の伏線を経ながら物語は進んでゆく。監督は『ラスト・キング・オブ・スコットランド』のケヴィン・マクドナルド、脚本陣は『フィクサー』のトニー・ギルロイ、『キングダム/見えざる敵』のマシュー・マイケル・カーナハン、『ニュースの天才』『アメリカを売った男』のビリー・レイ。どこからどうかかっても決して崩れない鉄人たちが、イギリスBBCで放映されたドラマを巧みに料理する。また、ラッセル・クロウの相棒役には『きみに読む物語』のレイチェル・マクアダムス。小生意気(?)な女性記者を、キチンとした嫌味で好演する。一方、売上を気にしながらも上層部との板ばさみで苦労する編集局長に、『クィーン』のヘレン・ミレン。この錚々たる顔ぶれが、様々な感情や利権が複雑に絡まりあうサスペンスを、極上のエンタテインメント作品に仕上げている。本作への出演がまた彼らの経歴に華を添えるのは間違いないだろう。
真実の報道と利潤の追求。私的感情と公的義務。これらが相反したとき、果たして人間はどう動くのか。緊迫のオープニングからスクリーンにずっと釘づけになり、最後のどんでん返しにも唸らされる、絶妙な逸品。しかし、「消された」ときて「ベン・アフレック」とくれば、『ペイチェック 消された記憶』を思い出してしまう。それを髣髴とさせることを狙って、わざとこの日本語タイトルをつけました?
消されたヘッドライン(Blu-ray)
原作:ポール・アボット(BBCテレビシリーズ)
監督:ケヴィン・マクドナルド
脚本:マシュー・マイケル・カーナハン/トニー・ギルロイ/ビリー・レイ
出演:ラッセル・クロウ /ベン・アフレック /レイチェル・マクアダムス/ロビン・ライト・ペン/ヘレン・ミレン
配給:東宝東和
ジャンル:洋画
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