シネマピア
幼獣マメシバ
主人公の35歳ニートしかり、ペットのマメシバ(豆柴=小型の柴犬)しかり。日本発で、しかも漫画発ではなく映像(映画&ドラマ)発で、これほどまでに愛すべきキャラクターもそうそうないのではないか。
芝二郎(佐藤二朗)、35歳独身。芝が名字で名が二郎、だが長男である彼は、生まれ育った小さな町から一歩も外に出ずに実家で暮らすニート。父(笹野高史)の突然の死、そして母(藤田弓子)の失踪。そんな折、マメシバが突然、彼の前に現れる。他者との繋がりを極力絶ちながら暮らしてきた彼にとって、もの言わぬ動物といえども犬もやはり他者。世話などできるわけがないと逃げ惑う彼だったが、その小犬は、母が自分を探させるために遣わせたものだった……。
映画に先立ち、今年1月から本作のテレビドラマ版が放映されている(tvkほか)。キー局の似たようなテレビ番組に飽きてきた私は、リモコンをピコピコするうちに偶然にも本作のテレビ版にめぐりあった。主演の佐藤が演じるニートの、不気味だけど愛着が持てる不思議な喋り方、そして独特の空気感。ニートとはいえ、言いたいことを言いたいだけサラッとリアルの口を動かして言ってのける、“社交的”なニート。
主人公がニートだからこそ誇張されて描かれてはいるが、ニートではない人間にも身に覚えのあるような、深いテーマ設定。そして、大柄のニートのおっさんとはまったく釣り合わない、メチャカワの小犬。以来、私はこのドラマを楽しみに生活するようになったのだ。
そしてこの映画だ。テレビ版のイメージはそのままに、設定がさらにスケールアップ。観る者をハラハラさせながら、やっとこさ難問をクリアしていくニート。彼を取り巻く、これまた独特のキャラクターたち。全編に渡って雰囲気はあくまでもやわらかく、やさしく、人の温かみというものを随時感じさせながら、物語は進んでいく。
メイキングDVDやフォトブック、小説、漫画など、関連商品も揃い踏みだ。おとぎ話のような本作の世界で、ぜひどっぷりと癒されていただきたい。
映画版 幼獣マメシバ(DVD)
監督:亀井亨
脚本:永森裕二(原案も)
出演:佐藤二朗 /安達祐実 /渡辺哲/高橋洋/高橋直純/西田幸治(笑い飯)/笹野高史/藤田弓子
配給:AMGエンタテインメント(企画も)
ジャンル:邦画
公式サイト:http://mame-shiba.info/
© 2009『幼獣マメシバ』製作委員会
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