シネマピア
シャッター アイランド
観終わったあとで、もう一度観たくなる作品である。
四方を海に囲まれ、精神を病んだ犯罪者を収容する島「シャッター アイランド」。鍵のかかった病室から人知れず消えてしまったひとりの女性患者を捜索するため、連邦保安官(レオナルド・ディカプリオ)は島へと足を踏み入れる。実は密かに、妻を殺した放火魔への復讐をも考えてこの島に乗り込んだ彼だが、厳しく立ち入りを制限された謎の施設、申し合わせたかのように同じ証言を繰り返す職員たち、極秘裏に行なわれているという人体実験の噂に困惑するほかなかった。島のことを知れば知るほど、迷宮に入り込んでしまう彼だったが……。
あまり多くを語ると「謎解き」という本作品最大のテーマを邪魔するやもしれないので、他作のレビュー以上に詳細の言及には慎重を期したい。勘の良い御仁は冒頭の不自然なセリフですでに気づいてしまうかもしれないが、昨今の映画にはそんなアリエナイ脚本がままあるので、本作もそれの類かと思ってスルーしてしまってグイグイ引きこまれる。そして終盤で真実が明らかになったとき、「あっ、アレか」と気づく。「あのときからもうオカシイじゃん」と。結論自体はよくある王道パターンなのだが、そこまで引きずり込んでくれる監督、脚本、演出、そしてディカプリオの演技には脱帽せざるを得ないのだ。すべてを知ったディカプリオの、最後のあのセリフも切ない。
世知辛いこの世の中も、騙したり騙されたり、そんなつもりはなくとも誤解したりされたり、しまいには自分自身をも騙して、束の間の安楽に浸ろうとしたり。だが、本当の意味で自分を救うのは、真実を見つめ、それに真っ向から立ち向かうことでしかないのだろう。
シャッター アイランド スペシャル・コレクターズ・エディション(Blu-ray)
シャッター アイランド(文庫)
ディカプリオが来日記者会見!
原作:デニス・ルヘイン「シャッター・アイランド」
監督:マーティン・スコセッシ
脚本:レータ・カログリディス
出演:レオナルド・ディカプリオ /マーク・ラファロ /ベン・キングズレー/ミシェル・ウィリアムズ
配給:パラマウント ピクチャーズ ジャパン
ジャンル:洋画
公式サイト:http://www.s-island.jp/
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