シネマピア

レポゼッション・メン

20100628165842picm.jpg誰かの死をもってでしか別の誰かの“生”を維持できない現代の臓器移植。本作はそんなジレンマをクリアした人類が迎える新たな課題を皮肉たっぷりに突きつける。

今から約20年後の未来。人工臓器移植は巨大ビジネスと化し、人類はかつてない長寿を謳歌していた。だが、臓器のローンが滞るやいなや、人工臓器回収人(レポゼッション・メン=レポ・メン)が容赦なく臓器を回収する。それと同時に債務者は必然的に死を迎えるが、その“殺人”は合法的なものだった。ある日、腕の立つレポ・メン、レミー(ジュード・ロウ)がいつものように回収業務に取り掛かると、不慮の事故が発生してしまう……。

シャーロック・ホームズ』で軽めのアクションをサラッとこなしていたジュード・ロウが、本作ではさらにスケールアップして汗まみれ血まみれの肉弾戦を好演。妻でない行きずりの女性を特段の理由もないのに命がけで助けようとする、といったイマイチ納得のいかない展開もなきにしもあらずだが、こうしたアバンチュールなイロモノがないとハリウッド的エンタメは成立しないので、それはそれで良しとしよう。
また、夢物語のようなストーリーと粗い展開はB級の証ではない。あのラストに持っていくための巧妙な伏線だったのだ。原作者自らが脚本を手がけただけはある。

もともとの設定がスプラッタである、といったいかにも作り物的なR-15+指定ならば平気で見ていられるのだが、本作はスタイリッシュな近未来SFでありながらのこのレイティング。描写は非常に上手くできており、女性である筆者もさることながら隣で試写していたガタイのいい男性ですら、たびたび目を覆っていた。物語の本筋以前に、そうした衝撃のグロ映像が苦手な方は心して挑むべきだろう。そんな、生理的に背筋が寒くなれるという納涼効果も見込める、夏に最適の逸品。ぜひ、劇場でご覧あれ。

レポゼッション・メン ブルーレイ&DVDセット(Blu-ray)
レポメン(文庫)
原作:エリック・ガルシア『レポメン』
監督:ミゲル・サポチニク
脚本:エリック・ガルシア/ガレット・ラーナー
出演:ジュード・ロウ /フォレスト・ウィテカー /リーヴ・シュレイバー/アリシー・ブラガ
配給:東宝東和
ジャンル:洋画

© 2010 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.















エンタメ シネマピア   記:  2010 / 06 / 28

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