シネマピア
パラレルライフ
違う時代に生きる異なる人物が、酷似した運命をたどるというパラレルライフ=平行理論。有名どころではリンカーンとケネディの運命がそれに該当するといわれる。死亡した日はどちらも金曜日、リンカーンが死亡した場所はフォード劇場、ケネディはフォード車内、副大統領の姓はどちらもジョンソン……といった具合だ。本作の主人公たちもこの説に支配され、数奇な運命を辿る。
出世街道を突き進む敏腕判事の妻が、ある日何者かに惨殺される。直前に不審な電話を受けていた彼は、妻の死の原因が自分にもあると打ちひしがれる日々を送っていた。そんな折、事件を取材していた女性記者がパラレルライフ説を判事に告げる。30年前に判事に任命された男もまた妻を殺害され、この理論が正しければ6日後に判事もその娘も死に至るはずだというのだ。突飛もない話を信じることができなかった判事だが、ほかにも共通点が次々と現れ……。
発想はまったくもって素晴らしい。ストーリーも様々な要素や複雑な人間関係が絡まりあい、意外な展開を要所要所で見せつつ、判事の呪われた運命を浮き彫りにしていく。とはいえ、理論を現実のものにするためのいささか無理な展開が少々見受けられたのが残念ではあるが、そこは韓国節の特徴といえば特徴なので、その点も含めてこの奇想天外な物語を楽しみたいところだ。
「偶然」の一言で片付けられなくもないこのトンデモ理論だが、リンカーンとケネディのように有名ではない我々にも、もしかしたら知らないところでこの理論が当てはまっているのかしれない。もしそれを知ることができたのなら、不運を回避することは可能なのだろうか? 運命は切り開くことが可能なのだから知っておくに越したことはないはずなのだが、本作を見るとそうともいえない。人生とは、目に見えない何かに動かされているものなのだろうか。ホラーとまではいかないが、真夏の夜にそんな思考を巡らすには最適の一作。
パラレルライフ(DVD)
監督:クォン・ホヨン
脚本:ハン・ジュンエ
出演:チ・ジニ /イ・ジョンヒョク /ハ・ジョンウ/ユン・セア/パク・ビョンウン
配給:CJ Entertainment Japan
ジャンル:洋画
公式サイト:http://www.parallel-life.jp/
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