シネマピア
漫才ギャング
青春エンタテイメント映画『ドロップ』('08)の大ヒットから2年、品川ヒロシ監督待望の第二弾!
主人公の売れない漫才師・飛夫(とびお)に、『Rookies -卒業-』('09)、『海猿』('10)シリーズなどの熱演が記憶に新しい佐藤隆太。留置場で飛夫にツッコミの才能を見出され、ケンカに明け暮れる日々からお笑いの道へ踏み出す龍平に、俳優・タレント・歌手としてマルチに活躍中の上地雄輔。飛夫を信じ、優しく見守る元彼女に『インシテミル 7日間のデス・ゲーム』('10)、『人間失格』('10)など話題作への出演が続く石原さとみ。ほかにも、宮川大輔、綾部祐二(ピース)、秋山竜次(ロバート)ら吉本の個性派芸人が大挙出演!!
結成10年、しかし一向に売れないお笑いコンビ“ブラックストーン”のボケ&ネタ作りを担当する飛夫。ついに相方から解散を告げられヤケになり、トラブルに巻き込まれて留置場送りになってしまう。一方、日々ケンカに明け暮れる龍平も、敵対するストリートギャング“スカルキッズ”との乱闘の末、同じ留置場に放り込まれていた。はじめはドレッドヘアーにタトゥーだらけの龍平にビビッていた飛夫だったか、しだいに彼の“ツッコミ”の才能に気づき、あることを思いつく。
「あのさ…、俺とコンビ組まない?」――
「漫才ギャング」めちゃくちゃ面白いです! 笑い過ぎてお腹が痛くなってしまいました。もう、私のストライクゾーンど真ん中。さすがはお笑い芸人監督、ギャグが冴え渡っています。特に借金取り役の宮川大輔にはまってしまいました。『岸和田少年愚連隊』('96)、『パッチギ! LOVE&PEACE』('07)、『隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS』('08)、『ガチ☆ボーイ』('08)などに出演し、すでにベテランなその演技にやられました。ギャグについては言うまでもないですが、借金取りという憎まれ役の中での人情味ある演技がニクいです。そしてもうひとり!! やっぱり「ロバート」好きの私にとっては小渕川役の秋山竜二がたまりません。彼の真骨頂であるオタク(シャアのコスプレをするガンダム・オタク!!)な役どころですが、特に後半のイイところでイイ味出してます。また、飛夫の友人デブタク(西代洋)、メイド役の森三中(大島美幸)もイイ!! 品川演出、恐るべしです。
さて、そんなところで主人公の二人。
ひょんなことからコンビを組むことになった飛夫と龍平、演じる佐藤と上地の漫才コンビは、品川演出のなせるワザか、もうホンモノのボケとツッコミなのです。舞台のシーンは実際にお客さんを入れて本物の笑い声だけを同録したそうで、自分の演出に自信があることの証左でしょう。飛夫の心の叫びがモノクロアップで処理されているところ(ここはかなりツボ)、冒頭のケンカと漫才のカット割りなどは、ビジュアルセンスも感じられました。
そして単なるお笑い映画でもありません。夢を追いかけることへのメッセージもふんだんに入っています。元・漫才師の河原(長原成樹)のセリフはクリエイターにはしみるし、飛夫の「人は変われるんだよ」の臭いセリフも、品川監督の「人間はいつでも何か始められる」っていうテーマに繋がっているんじゃないかと思います。やはり、なにかに真剣に挑戦して成功した男の作る作品には、強い説得力がある。一歩踏み出せなくて悩んでいる人はこの作品を観て、自分の可能性に懸けてみる、その後押しをしてくれる作品になっていると思います。
試写会の帰りにおしるこ缶いただきました。なぜって? それは映画を観てのお楽しみ!!
漫才ギャング スタンダード・エディション(DVD)
原作:品川ヒロシ『漫才ギャング』/リトルモア
監督:品川ヒロシ
脚本:品川ヒロシ
出演:佐藤隆太/上地雄輔/石原さとみ
配給:角川映画
ジャンル:邦画
公式サイト:http://www.manzaigang.jp/
© 2011「漫才ギャング」製作委員会
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エンタメ : シネマピア 記:尾崎 康元(asobist編集部) 2011 / 02 / 25