シネマピア
ファースター 怒りの銃弾
まさに王道をまっしぐら!! 超ド級のアクション映画登場!
近年、妙に軽快だったり、スタイリッシュだったり、ド派手だったりするアクション映画界ですが(それも好きですけど)、この作品は古き良き時代(?)のアクション映画と言っていい。クリント・イーストウッドの『ダーティハリー 』(71年)、ジーン・ハックマンの『フレンチ・コネクション 』(71年)といった往年の作品に見られる渋さが、この作品にはある。とてつもなく男臭い!
しかし、やはり時は21世紀、スタイリッシュな部分もちゃんと取り入れられています。
“ドライバー”と呼ばれる男はその日、強盗罪で10年の刑期を終え、ただひとつの目的を持って出所した。彼の目的とは「自分を陥れた男たち全員を抹殺する」こと。これだけが、彼の10年を支え、その復讐心を鍛えていたのだ。塀の外に出た彼はかつての仲間に手配させていた車に乗り込み、怒りを加速させつつ車を走らせる。一丁の銀のリボルバーとともに――
1人目―あるオフィスビルへ向かい、監視カメラも気にせず、迷うことなく男の眉間に銃弾を放つ。2人目―アパートの一室で静かに老後を送っているように見える老人を同じように容赦なく射殺……監視カメラに写った顔と照合されすぐに男の身元は割れ、ベテラン刑事が捜査に乗り出すことに。やがて被害者の共通点と、そこに隠された10年前のある事件が浮き彫りになってくる――
復讐のために突き進む男“ドライバー”を野獣の如く演じるは、『ハムナプトラ2/黄金のピラミッド 』(01年)や、主演作『スコーピオン・キング 』(02年)で、アクションシーンには欠かせない主演俳優となったプロレスラー“ザ・ロック”ことドウェイン・ジョンソン。その肉体は、『コマンドー 』(85年)で見せたアーノルド・シュワルッツェネッガー級と言ってもいいだろう。容赦なく銃弾を放つ“ドライバー”は、まさにアクション映画の真骨頂! さらにそれだけではなく、今回の彼は哀愁さえ漂わせる抑えた演技で、より男臭さを引き立てている。
“ドライバー”を追う定年間際の“コップ”に『アルマゲドン 』(98年)の名優ビリー・ボブ・ソーントン(5度の結婚歴があり、1度はアンジェリーナ・ジョリー。余談でした)。彼のどことなく情けない“コップ”を独特の癖のある演技で演じるところが、またこの作品に深みをあたえている。そして『遠距離恋愛 彼女の決断 』(10年)などに出演のオリヴァ―・ジャクソン・コーエンが演じる殺し屋“キラー”は、とてもスタイリッシュなイケ面男!
彼だけで一本映画が撮れそうな力強いキャラクターである“キラー”は、謎の男から“ドライバー”殺しを依頼され対戦するが、まったく恐れを知らない“ドライバー”に刺激され、彼に勝つ(殺す)ことだけに執念を燃やす。この3人の男たちの熱き戦いなのだ。
また、リアリティを追求したアクションもこの作品の見物。上記したが、CGや超絶特殊効果にワイヤーアクションといった、ちょっとやりすぎた感のあるアクションシーンは、の作品にはほとんどない。そんなリアルさが往年のアクション映画ファンには嬉しい。“ドライバー”の運転するスーパー・スポーツ・シェベルが(今やクラシックカーですかね)またまた男臭さを引き立てる。 ストーリーは、復讐する男とそれを追う男というとてもシンプルな……シンプル過ぎるか? と思いつつ、最後にひとひねりあります。
アクション映画も行くところまで行った感があり、こういった原点に帰る王道作品もある意味イイかも知れない。温故知新である。
ファースター 怒りの銃弾(Blu-ray)
監督:ジョージ・ティルマン・Jr
脚本:トニー・ゲイトン/ジョー・ゲイト
出演:ドウェイン・ジョンソン/ビリー・ボブ・ソーントン/オリヴァ―・ジャクソン・コーエン
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
公開:5月21日(土)より、シネマスクエアとうきゅう他、全国ロードショー
公式HP:http://www.faster-movie.jp/
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エンタメ : シネマピア 記:尾崎 康元(asobist編集部) 2011 / 05 / 18