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【映画レビュー】悪人伝

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連続殺人鬼を追い詰めるのは、ヤクザと警察のタッグだった……?! 奇想天外な設定かと思いきや、実話からの創作だという本作。本国・韓国で劇場公開されるやいなや興行収入ランキング初登場 NO.1を記録し、シルヴェスター・スタローン制作によるハリウッド・リメイクも決定したという話題のクライム・アクション・サスペンスだ。来年公開予定のマーベル作品『エターナルズ(原題:The Eternals)』での世界進出をも決めた主役のマ・ドンソクが贈る、圧巻の韓国ノワール・エンターテイメント。

ある夜、何者かに刃物で襲われたヤクザの組長(マ・ドンソク)。一命を取り止めた組長は犯人探しを始めるが、一方、1人の刑事もまた別の事件でこの犯人を追っていた。ヤクザは自らの手で、刑事は法により、それぞれ異なる方法で裁きを下すため、同じ犯人を探すが……。

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粗削りではなく緻密で、筋肉と筋肉、骨と骨、血と血までもがガチでぶつかり合うド派手な暴力シーン。一筋縄では行かない、何重にも罠が仕掛けられたサスペンス。狭い路地裏を縫うかのように繰り広げられる、緊迫したカーチェイス。ヤクザ同士の抗争、警察内部の派閥争い、できない上司の下でもがく有能な刑事。ただ人を殺すだけではない、知性を拗らせたシリアルキラー。立ちはだかる法の壁、壁、壁。血の気の多い職業と韓国の国民性とが混じり合って現れる躍動感、ハチャメチャさ。何気ない伏線もすべて回収される心地よさ。

そうした様々な要素が、時にはシリアスに、時にはコミカルに、バランスよくストーリー上に配置され、1本で何度でも美味しいエンタメ作に仕上がっている。観終わってみれば計算しつくされたプロットなのだが、その計算を微塵も感じさせない自然な流れ。……と、能書きをウダウダ並べてみましたが、要するにメチャメチャ面白かったということです、はい。スタローンがハリウッドでリメイクするのも心底頷けます、はい。

それから、これは余談というか何というかネタバレにならないように細心の注意を払いながら書かなければいけないことなのだが、犯人捜索のさなかに組長と刑事が会話をするシーン、あそこに実は犯人がさり気なく映っている。思わず「あ! あそこ!」と心の中で叫んだのだが、そうした絶妙な匙加減もこの監督、ようやりまんな。天才か。脚本も監督だそうだし。神か。

そして特筆すべきは勿論、主役の組長役のマ・ドンソク。ロバート秋山似のおっさんかと思いきや、いざ暴力シーンが始まれば、あの丸々とした体格でキレッキレのアクション。それもそのはず、ボディビルダーやフィットネス・トレーナーの他、総合格闘技 UFC の元ヘビー級王者マーク・コールマンのパーソナル・トレーナーをも務めたこともあるという経歴の持ち主だ。前述のとおりハリウッド進出も決まっているが、これも少年時代にアメリカへ移住し、ジョージア州のコロンバス州立大学で体育学を学んだという経歴を知れば合点がいく。

これを書いている2020年6月5日、すべての都道府県で新型コロナウイルスによる映画館の休業要請が緩和されている状態だが、くれぐれも感染なさらないようお気をつけいただきながら、この異色のバディ・ムービーを可能な限り劇場の大スクリーンでお楽しみいただきたいと思う次第だ。

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◆前売り特典
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監督・脚本:イ・ウォンテ
出演:マ・ドンソク、キム・ムヨル、キム・ソンギュ
配給:クロックワークス
公開:7月17日(金)シネマート新宿ほか全国劇場公開
公式サイト:http://klockworx-asia.com/akuninden/ 

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記:林田久美子  2020 / 06 / 05











エンタメ シネマピア   記:  2020 / 06 / 06

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