シネマピア
ジャック・リーチャー NEVER GO BACK
2012年『アウトロー』の続編として、どの組織にも属さない一匹狼のジャック・リーチャーが帰ってくる! 全世界で1億部を売り上げる同シリーズ同タイトル小説の第18作を原作に、『ラストサムライ』の監督エドワード・ズウィックと再びタッグを組み、トム・クルーズが自分ルールで暴れまくる!
かつて陸軍のエリート指揮官だった経歴を持つ男、ジャック・リーチャー(トム・クルーズ)。軍を退任した数年後、彼の後任者スーザン・ターナー少佐(コビー・スマルダーズ)が、あろうことか国家反逆罪で逮捕されるという事態が発生。彼女の無実を信じたリーチャーは、再び無謀な戦いへとその身を投じる……。
トム・クルーズが演じるアクション系の大役といえば、言わずと知れたミッション:インポッシブル・シリーズのイーサン・ハントだ。あちらのトムは、まるで超人さながらに奇跡のアクションをタフにこなし、すべての運が主人公に巡ってくる主人公マジックも最大限に発揮される。前作の『アウトロー』も、重厚なストーリー展開とともにトムの男らしさが炸裂しており、まさしく“カッコイイ”トム・クルーズ像が角度を変えて違う輝きを見せてくれていた。
だが、本作はそうしたカッコイイ系トム・クルーズとは少しばかり趣を異にする。五十路を過ぎた中老の男性が、アクションの衝撃による体のダメージをリアルに表現しまくる。日頃からプロのトレーニングをしまくっているであろうイーサン・ハントとは違い、ジャック・リーチャーは中年男の現実をさらけ出すことで映画の現実感を増し、観客をスクリーンに釘付けにする。“ホンモノ”の人間の無様な姿を、恥も外聞もなく見せてくれているのだ。
本作のストーリーもまた、その現実感を裏打ちする。普段は自分ルールで動き回るリーチャーが、本作では自らの娘くらいの年代の少女に振り回される、父親のようなのだ。相棒のコビー・スマルダーズがまたその娘の母親のようであり、あたかも親子かのように映るその3人の日常……否、非日常にはウイットに富んだセリフが散りばめられてあり、随所随所で心がほっこりしてしまう。本作はアクション映画であることには変わりがないのだが、ハートウォーミングかつコミカルなテイストもふんだんに含まれているのである。『宇宙戦争』での父親役もはまっていたことだし、トム・クルーズの父親役というのは、案外しっくりくる(実際のトム・クルーズにも娘がいるのだから、案外なんて言っちゃ失礼か)。
予想したとおりに予定調和が着地するあたりは不満と言えば不満だが、こんな意外なテイストのアクションだって、決して悪くないのだ。
原作:リー・チャイルド「ネバー・ゴー・バック」(講談社文庫)
監督:エドワード・ズウィック
脚本: エドワード・ズウィック、マーシャル・ハースコヴィッツ、リチャード・ウェンク
出演:トム・クルーズ、コビー・スマルダーズ(『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』)、オルディス・ホッジ(『ダイ・ハード3』、『ダイ・ハード/ラスト・デイ』)、ダニカ・ヤロシュ
配給: 東和ピクチャーズ
公式HP:http://www.outlaw-movie.jp/
公開:11月11日(金)より全国公開
©2015 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.
Tweet |