シネマピア

MOST BEAUTIFUL ISLAND/モースト・ビューティフル・アイランド

MBI_001.jpg ここで私に何かあっても、誰も気に留めない、誰も気づかない……
幸せになれると信じて入国しても、重労働&低賃金で雇われ生活苦に追い込まれる不法移民。そんなある移民女性が厳しい生活を打破する為に足を踏み入れ体験するおぞましい世界。そこでは社会的に存在が認められない不法移民の彼女に、何かあったとしても、誰も気に留めることはない。彼女が生きるために選んだ究極の選択とは?そして、その先に待ち受ける衝撃とは?スペイン出身の女優アナ・アセンシオが自身の経験をもとに製作した初監督作品はスーパー16で撮影され、その映像はカサヴェテスやサフディ兄弟の作品を思わせると評判になった。大胆かつ繊細、そしてドキュメンタリータッチのカメラワークが、危険に晒された女性の不安をあぶり出す。更に利己的でサディスティックなニューヨークのセレブたちの歪んだ欲望をも鋭く切り取る。この映画は、日本を含め世界がかかえる様々な問題と深く重なって注目を集め、世界中の映画祭で大絶賛された。監督のアナ・アセンシオは新たなる才能と称賛を浴び、近年注目を集めるアメリカのSXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)映画祭では、最高位の審査員大賞の受賞を果たしている。

■ストーリー
ある不法移民女性が経験する一夜の悪夢…… 
ニューヨーク、マンハッタンのボロアパート。移民のルシアーナ(アナ・アセンシオ)は、反抗的で生意気な子供のベビーシッティングや露出の激しい衣装をまとった客引きなどで暮らしている。極貧の生活に、疲れ切っていた彼女は、友人のロシア人女性から、高額なお金がもらえるおいしいバイトを紹介される。それは、セクシーなドレスを身に着けパーティーに参加するだけというもの。指定された地下室へと向かうと、彼女のような外国人の美女ばかりが何人も集められ、威圧感のあるマダムが、一人、また一人と得体のしれぬ奥の部屋に彼女たちを呼び込んでいく。不安と恐怖に襲われるルシアーナだったが、不法移民の彼女を助けるものはいない。そんな中、とうとう彼女に声がかかる……。

MBI_002.jpg サスペンスの形式をとった社会派映画。前半では不法移民の問題点を手持ちカメラでドキュメンタリーのタッチを盛り込みながら描き、後半の“高額なお金がもらえるおいしいバイト”に向かうところから一気にサスペンスへと突入。本来ならそんな怪しいバイトに絶対参加することはないのだろうが、生活苦から危険を承知で参加してしまうのだろう。会場に向かうまでの怪しい道のりに緊張感が高まっていく。その“高額なお金がもらえるおいしいバイト”とは何か?というシーンでは観るものの想像力が掻き立てられる。何?何?何?その得体のしれぬ奥の部屋で行なわれていることは?社会的に存在が認められない不法移民の彼女たちに、何かあったとしても、誰も気に留めることはないといった社会状況に納得する展開に、緊張感はマックスへと……。ある意味、新しい形のサスペンス映画になっている。

11月28日(水)の都内渋谷区の映画美学校での試写会では、監督・脚本・主演を務めたアナ・アセンシオの来日会見が行なわれた。彼女にはふたつの夢があり、ひとつは日本に来ること、もうひとつが自分の映画を作ることで、その両方がこの日に叶ったと。この作品を作るきっかけについては、女優業を長年続ける中で、自分が望む役がまわって来なかったことから、自ら映画製作に取り組んだ模様。また、撮影時のエピソードについて、自分が裸でうつ伏せの状態でのシーンがあり、撮り終わった瞬間に、他のスタッフに指示を出さなければならなかったことに、周りはどう感じているのか?と、撮影時の困惑した思いを語った。この作品は彼女自身の経験をもとに製作されており、友人のロシア人女性も実際のモデルが存在し、新聞広告のアルバイトが掲載と違っていた体験などがこの作品のベースになっているようだ。影響を受けた監督では、ロマン・ポランスキーとデヴィッド・リンチの名前を挙げた。最後に、移民の立場の厳しさと、登場する女性たちはチャンスをどう掴むのか?そういったところを観てほしいとメッセージを送り、来日会見を締めくくった。

MBI_003.jpg ■プロフィール(アナ・アセンシオ)ANA ASENSIO
スペイン・マドリード出身の国際派女優・脚本家・監督。現在ブルックリン・ニューヨーク在住。1978年4月4日生まれ。脚本と監督を手掛けた初長編作品『モースト・ビューティフル・アイランド』がサウス・バイ・サウスウェストにて審査員大賞を受賞。世界50の映画祭で上映され、2018年インディペンデント・スピリット・アワードではジョン・カサヴェテス賞にもノミネートされた。女優としての出演した映画には“Tu Me Manques” by Rodrigo Bellot, "The Afterlight," by Craig Macneill and Alexei Kaleina, "The Archive," by Oscar winning director Ethan Spiglan; "Zenith," by Vladan Nikolic; and, the HBO short film, "Betty La Flaca," by Hugo Perez. などがある。他にも、スペインのTVドラマシリーズへの出演や一人芝居の現代劇をプロデュースして海外でのツアー公演も行っている。現在、サンダンス・インスティテュートの支援を受け、次回作の脚本を執筆中。

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SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)映画祭2017審査員大賞受賞作品(Grand Jury Winner)
ファンタジア国際映画祭2017正式招待作品
シッチェス映画祭2017正式招待作品
2017年・第14回ラテンビート映画祭上映作品(日本)
エルサレム・フィルム・フェスティバル、ロンドン・フィルム・フェスティバル、フィラデルフィア・フィルム・フェスティバル、シドニー・フィルム・フェスティバル、メルボルン国際映画祭、ストックホルム国際映画祭、高雄国際映画祭、ムンバイ・フィルム・フェスティバル、ローマ・ファンタスティック映画祭、トリノ・フィルム・フェスティバル、イスタンブール・フィルム・フェスティバルほか上映作品。

監督・脚本:アナ・アセンシオ
製作:アーメット・S・ビルゲン、ホセ・マリア・ガルシア、ギル・ホランド、ラリー・フェッセンデン『ステイク・ランド』『肉』『ABC・オブ・デス2』、ノア・グリーンバーグ
音楽:ジェファリー・アラン・ジョーンズ
撮影:ノア・グリーンバーク『チャンネル・ゼロ』『コイン強盗クラブ』
編集:フランシスコ・ベロ『世界で一番パパが好き』
出演:
アナ・アセンシオ、
ナターシャ・ロマノヴァ『アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴ アナザー』
ニコラス・トゥッチ『サプライズ』
ラリー・フェッセンデン『喰らう家』『ヘルベンダーズ』
アミ・シェス
デビッド・リトル
配給:インターフィルム
公式HP:http://www.interfilm.co.jp/mostbeautifulisland/
公開:2119年1月12日(土)より新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー

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エンタメ シネマピア   記:  2018 / 12 / 04

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