シネマピア
【映画レビュー】マッド・ハイジ
あのハイジが、あのペーターが、あのクララが……、えっっっ?! 『アルプスの少女ハイジ』が実写版18 禁で帰ってきた……だと? スイスで生まれ全世界で愛される不朽の名作が、キャラ設定だけをかろうじて残し、まっっったく別物のB級残虐エログロ・バイオレンスに生まれ変わってしまった! にも関わらず、本作はブリュッセル国際ファンタスティック映画祭で観客賞を受賞するなど、ヨーロッパ各地の映画祭で数多くの賞を受賞してしまった……だと?! 『アイアン・スカイ』のテロ・カウコマーがエグゼクティブ・プロデューサーとして好き勝手やっちゃってるからか? けしからん! これは頭を空っぽにして観るしかない☆◆◎□★○……
当時は天真爛漫な少女だったハイジも、今や24歳の成熟した大人の女性。アルムの山小屋でおじいさんと暮らしつつ、彼氏のペーターと愛を育む日々。しかし、闇チーズビジネスに手を染めたペーターはスイスを牛耳る残忍な独裁者マイリに目を付けられ……。
えーーーっと、はい。観ました。これぞB級の中のB級。潔くB級。頑張って頑張ってA級にしようとしたけれど残念ながらB級になってしまった、なんて中途半端なシロモノではなく、クラウドファンディングで19カ国538人からサクッと集めた200万スイスフラン(約3億円。うち日本からは11人で約72,500円。最高額の寄付者は約1450万円!)という大金を、あえての王道B級ランクに全振り。血なんか全然ホンモノっぽくないもんね〜、だって女の子だもん。じゃない、B級だもん。
本作が長編映画デビューとなるハイジ役のアリス・ルーシーは英国出身でテコンドー黒帯の持ち主。だからアクションのキレがやたらとピカイチだ。独裁者役には『スターシップ・トゥルーパーズ』の主人公役で知られるキャスパー・ヴァン・ディーン。ハイジのおじいさん役には『グラディエーター』『パイレーツ・オブ・カリビアン』のデヴィッド・スコフィールド。そんじょそこらの低資金B級群とは違い、キャスティングにもカネがかかりまくっているのである。そりゃB級の金字塔になり得るわけだ。
まだ7月前半だというのに脳ミソが溶けそうなくらい暑い日々が続く日本各地。だったらもっと脳ミソ溶かしまくってイヤなこと全部忘れちゃえ〜☆ なノリで、悩める人々の辛い現実を忘れさせてくれる、ある意味癒し系にもなり得る安心安全なビッグスケールかつハチャメチャな勧善懲悪ストーリー。涼し〜い劇場で、ゆったりとご覧あれ。
監督:ヨハネス・ハートマン、サンドロ・クロプシュタイン
脚本:サンドロ・クロプシュタイン、ヨハネス・ハートマン、グレゴリー・ヴィトマー、トレント・ハーガ
出演:アリス・ルーシー、マックス・ルドリンガー、キャスパー・ヴァン・ディーン、デヴィッド・スコフィールド、アルマル・G・佐藤
配給:ハーク/S・D・P
公開:7月14日(金) ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館、池袋シネマ・ロサほか全国ロードショー
公式サイト:hark3.com/madheidi
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記:林田久美子 2023 / 07 / 10
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