シネマピア
【映画レビュー】PATHAAN/パターン
ボリウッド映画界のキングの異名を持つ大スター俳優、シャー・ルク・カーンがスパイに扮して大暴れ! 世界中を股に掛け、祖国の敵を張り倒す!! そしてディーピカー・パードゥコーン演じる謎の美女は、果たして敵なのか味方なのか……?! 今年だけでも本作のインド興行収入はNo.1を達成し、インド映画世界興収としても、『ダンガル きっと強くなる』(2016)、『バーフバリ 王の凱旋』(2017)、『RRR』(2022)、『K.G.F: CHAPTER 2』(2022)に次ぐ歴代5位。ボリウッドならではのキレッキレで安定のアクション満載で、撮影地はスペイン、ドバイ、アフガニスタン、トルコ、イタリア、フランス、そしてインド映画としては初でシベリアのバイカル湖でのダンスシーンも収録という、ドでかスケールの超大ヒット作が、いよいよ日本に上陸だっ!
インド諜報機関RAWに所属するエージェント、パターン(シャー・ルク・カーン)。2020年にミャンマーで作戦中に負傷して大怪我を負った彼は、心身に傷を負って一線を退いた元エージェントたちを呼び集め、RAWの内部組織・JOCRを立ち上げる。そんな中、2022年にドバイ訪問中のインド大統領が未知の集団Xに命を狙われているという情報を掴んだJOCRだったが、Xの真の目的は別の人物にあったのだった……。
実は、本作の試写前に某ダークな戦争モノを見始めた。そちらはそちらで面白そうだったのだが、何故か本作が無性にどうしても何としてでも何がなんでも観たくなってしまい、そちらは5分も経たずに中断し、本作を観た次第。……というぐらい、不思議な吸引力が本作にはある。てか、先月に引き続き今も夏だしね〜。地球温暖化が原因での異常な暑さの夏、真っ只中。そうだこれもそれも何もかも夏のせいだ、全部夏のせいなんだーーーっ!
前置きはさておき、本作はこれまた夏にはぴったりの作品だ。タイトルのパターンとはシャー・ルク・カーン演じる主人公の諜報機関エージェントの役名なのだが、彼はまたどこか真田広之を思わせる出で立ちというかナスDを思わせるルックスというか、どこか日本人に通ずる面影のイケメンなこともあり、日本人の私としては思い入れが深くなりがちで、ついついスクリーンに見入ってしまうのである。そのパターン氏のアクションがこれまたキレッキレで、しかもそのアクションの内容たるや、M:I のトム・クルーズを凌駕するほど、いや、もしかしたら超えた?! ってほどの度肝の抜き加減で、主人公マジック(主人公はどんなピンチに陥っても偶然が幾重にも積み重なって死なないアレです、魔法です、鉄板の法則です)だってバリバリ使われまくってます。
だがそれがイイ!! だからこそそれがイイ!!! ボリウッドからハッピーを抜いたら何が残るというのだ? いや、本作は残るんです。ハッピー以外にも、世界を縦横無尽に駆けずり回りながら、芯はシリアスで愛国心を貫き、感染症などの時事ネタも盛り込みつつ、何重にも輪をかけたどんでん返しのストーリー展開。そして皆様お待ちかねのダンスシーンもございます(ボリウッドにしては少なめですが)。セクシーなディーピカー・パードゥコーンのバディのしなり具合がたまんなくて病みつきになること間違いなし。いわばボリウッドの全部のせ。ロマンスもシリアスもミステリアスもアクションも何もかも入ってカロリー満点栄養満点なのです。
本作公開は9月1日だが、この分だと恐らくこの頃も日本列島はまだまだ夏真っ盛りだろう。是非、ド派手で痛快なアクション大作を涼し〜い劇場でご覧あれ。
監督、原案:シッダールト・アーナンド(『バンバン!』『WAR ウォー!!』)
脚本:シュリーダル・ラーガヴァン
出演:シャー・ルク・カーン(『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』)、ディーピカー・パードゥコーン(『トリプルX:再起動』)、ジョン・エイブラハム(『ディシューム』)、ディンパル・カパーディヤー(『TENET テネット』)、サルマーン・カーン(『タイガー 伝説のスパイ』)
配給:ツイン
公開:9月1日(金)新宿ピカデリー、グランドシネマサンシャイン 池袋ほか全国ロードショー
公式サイト:pathaan-movie.com
記:林田久美子 2023 / 08 / 09
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