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【映画レビュー】インフィニティ・プール

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スランプに陥った作家が、リゾート地の孤島で犯してしまった罪、そして彼に訪れる危機とは……? 監督は、鬼才デヴィッド・クローネンバーグを父に持つブランドン・クローネンバーグ。作家役の主演は名優ステラン・スカルスガルドを父に持つアレクサンダー・スカルスガルド。ダブル二世が織りなす狂気の世界の幕が上がる!

裕福な資産家の娘である妻とともに、高級リゾート地として知られる孤島を訪れた作家・ジェームズ(アレクサンダー・スカルスガルド)。スランプに陥っていた彼の目的は、旅先で新たなインスピレーションを得ること。同じホテルの客である資産家の妻(ミア・ゴス)に誘われるまま、外出を禁じられていた敷地外へと繰り出したが……。

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意外や意外、本作にはSF要素も加えられている。加えられているどころか、その要素がなければストーリーも成立しえないほど、根幹の根幹を成している。本国の公式予告編にはそのシーンが含まれているから、このことを私がここで書いてもネタバレにはならないのだろう。が、日本での公開日までまだ約2か月弱あるため、日本の公式サイトにはまだそのSF要素のあらすじは記載されていない。また、私は他の映画もそうだがなるべく事前情報を入れずに、より素のまま、よりバージンに近い状態で鑑賞をしたいタイプなので、本作もそのような状態で観始め、このSF要素にいささか驚くこともまた本作の魅力のひとつと感じた。だからやはり、この要素のことにはあまり触れないでおこう。知ってから観たい方は、ググったり、本国の予告編を観たり、いろいろどうぞ。

さて、その要素のおかげで資産家たちの傍若無人ぶりはとどまるところを知らずにエスカレートにエスカレートを重ね、人としてやってはいけない領域にまで躊躇なく、何度も何度も足を踏み入れる。そういえば、私のような一般庶民が知り得る噂によれば、超富裕層の皆々様のごく一部は、大金を使って豪華な生活をするだけでは物足りず、カネを払って雇った者に某犯罪をさせるそうで、その一部始終を映像に残させ、それを鑑賞するのだという。その噂に関してもぼやかして書いているのは、それこそが本作の肝でもあるからだ。本作のヤバい映像の数々は、その噂の拡大バージョンだろう。

余談だが、パスポートのくだりからその後の展開を予想しながら観た。が、それとは全く別方向へ物語は進んで行った。私のその想像もここに書きたいのだが、それもネタバレになるのでやめておこう。本作公開後、しばらくしたら自分のXにでも書くことにしよう。

狂気の映像は美しい。さすが父君の血をひいているだけある。この世界観を表せるのは、この血筋以外にいないだろうとまで思わせる。幻覚的な要素に関しては、もしかしたら実体験から着想を得ているのかもしれないが。金持ちアルアル。多分。想像の域を出ませんが。

主人公が作家として悩んでいる描写がほぼなかったのは惜しい。この部分がもっと多ければ、ラストの主人公の選択も説得力が増したのではないだろうか。監督は持ち合わせた才能と二世という地位を最初から手に入れていたから、あまり苦悩なくこの地位を得られたからか? と書いたら嫌味すぎかもしれないが。

ミア・ゴスの演技は圧巻。アレクサンダー・スカルスガルドの主役の座を脅かすのではないかと思うほどに、圧巻。もはやダブル主役といっても過言ではないだろう。

ダブル二世にダブル主役、そして主人公が生きてきた真実の世界と倒錯した孤島との、ダブルの世界。各誌絶賛の狂気の世界を、あなたも体験してみてはいかが?

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監督・脚本:ブランドン・クローネンバーグ(『アンチヴァイラル』『ポゼッサー』)
出演:アレクサンダー・スカルスガルド(『ノースマン 導かれし復讐者』)、ミア・ゴス(『Pearl パール』、クレオパトラ・コールマン『月影の下で』)、トーマス・クレッチマン(『タクシー運転手 約束は海を越えて』、ジャリル・レスペール『イヴ・サンローラン』)
配給:トランスフォーマー
公開:4月5日(金)新宿ピカデリー、池袋HUMAXシネマズ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国ロードショー
公式サイト:https://transformer.co.jp/m/infinitypool/ 

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記:林田久美子  2024 / 02 / 10











エンタメ シネマピア   記:  2024 / 02 / 10

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