シネマピア

【映画レビュー】破墓/パミョ

pamyo_001.jpg

墓の下から出てきた“何か”とは……?! 主演は、韓国映画の実力を世に知らしめるはしりともなった『オールド・ボーイ』での演技派俳優、チェ・ミンシク。本国の韓国では『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』『パラサイト 半地下の家族』を超え、堂々の約1,200万人を動員し、2024年のNo.1 大ヒット! また、第74回ベルリン国際映画祭でワールドプレミアとして上映されるや否や世界133か国での公開が決定し、第60回百想芸術大賞では監督賞、主演女優賞、新人男優賞、芸術賞を受賞。韓国のみならず、海外でも熱狂と快挙が止まらない超話題作!

巫堂(読み:ムーダン。日本でいうところの霊媒師)を生業とするファリム(キム・ゴウン)とその弟子ボンギル(イ・ドヒョン)は、とある家族から桁違いの報酬で依頼を受ける。なんでも、跡継ぎが代々謎の病気に罹ってしまうのだという。先祖の墓が原因だと気づいた彼らは、風水師サンドク(チェ・ミンシク)と葬儀師ヨングン(ユ・ヘジン)とともに墓を掘り返したのだが……。

pamyo_002.jpg

日本と韓国とでは埋葬の文化が大きく異なる。日本では火葬での弔いが圧倒的多数だが、海の向こうのお隣、韓国では逆に火葬は少なく、土葬が一般的だという。また、場合によっては墓を改装することも行われ、その際に古い墓を一旦掘り出すことを破墓(読み:パミョ)というのだという。本作はその破墓を題材とした映画だ。

なのだが。本国韓国で大人気の理由がもうひとつある。実は本作、「反日」が題材の映画でもあるのだ。 勿論、映画としての魅力もこの上ない。世界各国、各宗教ごとに“魔物”に対峙する祈祷の方法があり、西洋のキリスト教としては映画『エクソシスト』、日本でも映画『陰陽師』などでその一端を垣間見ることができる。本作で描かれる韓国の巫堂(ムーダン)による祈祷シーンも、まるで獣が本能のままに暴れているかのように恐ろしく、スクリーンを飛び出してこちら側に襲いかかるかのような迫力があり、そして何より、その所作が戦慄を覚えるほど華麗で美しい。
なのだが。ストーリーの根幹を成しているのが「反日」なのだ……と、ここまで書き連ねながらふと思った。本当に本作は「反日」なのか?

確かに、物語の核となる“それ”は日本のそれだ。だが他に、仮に別の国の“それ”を根幹として物語を作ったとするならば、果たして本作のストーリーは成立しうるだろうか? 私の答えは「否」だ。「過去を蒸し返すな」と日本の方々は思われるかもしれないが、我々のこの日本でも、米国との絡みを題材とした戦後映画が数多く作られてきたし、『硫黄島からの手紙』のように相手国である米国側もそうした映画を製作してきたし、我々はそれを一芸術作品として鑑賞し、堪能もしてきた。
本作も、結果論として「反日」かのように映るだけであって、恐らく製作側には明確な「反日」の意図はないだろう。もしそうした意図が最初からあったのならば、その時点から“作品としての純粋な輝き”は消え失せてしまうからだ。

ということで、いち日本人として声を大にして言いたい。どうか、そうした政治的先入観は一切抜きにして、純粋に“作品”として本作を味わっていただきたい。日本に馴染みの深い風水も題材にしながら、意外な結末に心を洗われる“美しい”サスペンス・ホラーなのだから。

pamyo_003.jpg

監督・脚本:チャン・ジェヒョン
出演:チェ・ミンシク 『オールド・ボーイ』、キム・ゴウン、ユ・ヘジン、イ・ドヒョン
配給:KADOKAWA、KADOKAWA Kプラス
公開:10/18(金)より新宿ピカデリー他にて全国ロードショー
公式サイト:https://pamyo-movie.jp 

© 2024 SHOWBOX AND PINETOWN PRODUCTION ALL RIGHTS RESERVED.
 


記:林田久美子  2024 / 10 / 10











エンタメ シネマピア   記:  2024 / 10 / 12

あそびすとショップ

美味良品 おとりよせしました

編集長!今日はどちらへ?

アラカン編集長モンブランを行く!

BigUp

asobist creator's file

  1. はいコチラ、酔っぱライ部
  2. ikkieの音楽総研
  3. 旅ゆけば博打メシ
  4. うららの愛♡Camera
  5. Tomoka's マクロビカフェ
  6. 三笘育の登山は想像力
  7. 憎いウンチクshow
シネマピア
おもいでリストにエントリー確実、話題の映画!
【映画レビュー】破墓/パミョ

墓の下から出てきた“何…

旅塾

▲このページのトップへ