シネマピア
SUPER 8/スーパーエイト
監督・脚本は『M:i:III 』のJ.J.エイブラムス、製作は『E.T. 』のスティーブン・スピルバーグという強力なタッグにより完成した本作。子供たちを中心に回るドラマに、予期しない大きな“何か”が投げ込まれ、心温まる物語が幕を開ける。
14歳の少年ジョーたちは、無類の映画好き。8ミリ映画製作のために夜中に家を抜け出した彼らは、今夜の撮影場所を駅に決めた。だが、走る列車を背景に撮影していたところ、大事故が発生してコンテナが脱線してしまう。あたり一面が炎に包まれるなか、閉じ込められた巨大な何かがコンテナから出ようとしていた……。
タイトルの「スーパーエイト」とは、彼らが使用しているカメラの名だ。そのカメラに写っている何か、そのカメラをきっかけに始まる淡い恋、そして大人への成長。子どものころから映画作りが好きだった人にとっては、この上なく素敵な物語だろう。
キャッチコピーには「SF超大作」とあるものの、舞台は主に少年たちが住む小さな町だけを中心に展開されており、さほど大作であるという印象は受けない。スピルバーグも関わっているからか、アメリカの各誌では『E.T.』との比較も見受けられるが、“何か”との心温まる交流を期待してしまうと、少々肩透かしを食らってしまう。
評論家たちから評価されている理由は、本作が「映画作りの映画」だからだろう。誰だって自分の好きなものが題材になっていれば、感動度もアップするというものだ。
J.J.が関わっているからか、“何か”は『クローバー・フィールド 』のソレと噂される向きもあるようだが、J.J.自身がそれを否定している。確かに、ソレがアレなら、とんでもなくスプラッタになって心どころか体も何もかもズタズタにされ、ヒューマン・ドラマは成り立たないだろう。
惜しむらくは、“何か”側から描いたカットや、“何か”が何を思っているか、ということを示す描写がほとんどないこと。これがあれば、もう少し“何か”に感情移入ができ、切なさも倍増しただろうに。
ジョー役を演じたジョエル・コートニーは、プロの俳優としての経験はまったくなく、本作がデビュー作。にも関わらず、それをまったく感じさせないナチュラルな演技は素晴らしいとしか言いようがない。また、映画監督役のおデブちゃんはマイケル・ムーアを彷彿とさせ、歯科矯正器具が目立つ男の子もイイ味で、彼らのやりとりはとても微笑ましい。
少しキュンとくる少年の成長物語として、家族揃って観るにはピッタリの本作。他作品との比較ではなく、先入観は何もなしで観たほうが楽しめるだろう。
制作:スティーブン・スピルバーグ/J.J.エイブラムス
監督:J.J.エイブラムス
脚本:J.J.エイブラムス
出演:カイル・チャンドラー/エル・ファニング/ジョエル・コートニー/ガブリエル・バッソ/ノア・エメリッヒ/ロン・エルタード/ライリー・グリフィス
配給:パラマウントピクチャーズ
公開:6月24日(金)TOHOシネマズ日劇ほか全国ロードショー
公式HP:http://www.super8-movie.jp/
あそびすと記者会見:J.J.エイブラムス監督、スカイプにて緊急会見!!
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