シネマピア
デビル
『シックス・センス』の大ヒットで注目を浴び、『アンブレイカブル 』、『サイン 』、『ハプニング 』と次々にヒット作を放ったM・ナイト・シャマラン。そんな彼が自身の原案、アイデアを将来有望な映画作家たちに映画化させる新たなプロジェクト“ザ・ナイト・クロニクルズ”。その待望の第一弾が本作である。
高層ビルで一人の男が墜落死した。現場に急行したボーデン刑事(クリス・メッシーナ)は、ロザリオを握りしめた死体に違和感を感じつつも、状況から自殺と断定する。ちょうどそのころ、同じビルのエレベーターが突然停止し、閉じ込められた5人の男女が照明が消えるごとに一人ずつ残酷な死を遂げる事態が起きていた……。
殺人犯はいったい誰なのか、なぜ彼らは殺されるのか? 外界から彼らを助けることが出来ない中で、事件を解明しようとする刑事は常識ではありえない事態を目のあたりにし、それが人間ではない“何かの力”で行なわれていることを感じる。自殺者がオフィスに残していた「悪魔の足音が聞こえる」というメモ、閉じ込められ次々と犠牲になる5人のプロフィール……すべての謎が明らかになったとき、そこには驚愕の事実があった……。
高層ビルのエレベーターと言えば、ルイ・マル監督『死刑台のエレベーター 』(58年)、ブライアン・デ・パルマ監督『殺しのドレス 』(80年)が有名だが、この作品はそんな“エレベーターもの”の代表作に追加してもいい作品に仕上がっている。両作品のサスペンスとスリルにホラーの要素を足してパワーアップさせた、そんな作品だ。
このエレベーター、実は映画のためにオリジナルで作られている。閉所恐怖症的な感覚を増すことが狙いだった。すべての寸法は登場人物に合わせて作られていて、整備工が天井パネルを動かす、そのギリギリ感を演出するために彼が手を伸ばし届く高さに天井が配置され、セールスマンが横たわったときに彼の身長が両壁にちょうど着く窮屈さを出すために左右の寸法が決められたなど、この閉塞感が恐怖をかき立てている。
“次から次へと死んでいく”というと、いわゆるジェットコースター型ホラー映画を連想させるが、『ファイナル・デスティネーション 』系の娯楽ホラーではない。むしろ人間性に重きをおいた心理的恐怖をあおる内容になっている。誰が犯人かわからない密室の中でパニックになる人々の心の崩壊に背筋が寒くなる。しかし、この手の映画にありがちな身も蓋もない終わり方はしない。最後はひとひねりあり、ちょっと心が救われるオチになっているので安心してご覧あれ。さあ、そろそろ夏休みが近づいて来ました。夏といえば、やっぱりホラーが観たくなりますね!!
原案・プロデューサー:M・ナイト・シャマラン
監督:ジョン・エリック・ドゥードル
脚本:ブライアン・ネルソン
出演:クリス・メッシーナ/ローガン・マーシャル=グリーン/ジェフリー・エアンド
配給:東宝東和
公開:7月16日(土)TOHOシネマズ 日劇(レイトショー)ほか全国ロードショー
公式HP:http://www.devil-movie.jp/
Photo Credit: Kerry Hayes/Universal Picture
© 2011 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED
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エンタメ : シネマピア 記:尾崎 康元(asobist編集部) 2011 / 06 / 27