シネマピア
デビルクエスト
『60セカンズ 』のドミニク・セナ監督と、名優ニコラス・ケイジが再度タッグを組んで作り上げたアクション・アドベンチャー。『ソードフィッシュ 』、『カリフォルニア 』等の現代劇を取り続けていた監督が、中世を舞台に新たな世界観を繰り広げる。
14世紀。十字軍の騎士ベイメン(ニコラス・ケイジ)とフェルソン(ロン・パールマン)は、神の名のもとに罪のない女子供が犠牲となる戦いに嫌気がさし、軍を離れていく。だが、ふたりが立ち寄った町では疫病のペストが流行り、もはや町として機能していない地獄のような光景が広がるだけだった……。
今やVFXで架空の映像を作り上げることは当たり前で、そうした作品群を見慣れているからか昨今の観客は数年前よりも格段に目が肥えてきている。現実にはないものを現実に混ぜ込んで描くことを成功させるには、映像面さえ馴染ませればそれでよいというものではない。例えば「ハリー・ポッター 」では列車のホームから別世界へ登場人物を移動させるし、「トワイライト 」等のここ最近の吸血鬼ものでは、吸血鬼が学生生活を器用にこなしている。また、心霊ものなどの「本当にあるかもしれない」系ならば、それなりの現象を随所に散りばめれば現実感は増す。だが、目に見えるクリーチャーを現実世界に登場させるのは、実はかなりハードルが高い。現実と非現実の境目を極力なくさなければ、観客は異物の登場と同時に一気に冷めてしまうからだ。
その高いハードルにトライしたのが本作だ。大勢の兵士たちとの戦いのシーンなどはなかなか肉迫している。「魔女裁判」という、今でいえば一種の人種差別のような黒歴史を題材としている点も興味深い。また、登場人物それぞれが団結して敵を倒すさまは、まるでRPGゲームのようだ。だが、時おり現れるその危機がどこか取ってつけたようで、まったく現実感に欠けている。……などと思いつつ後半に差しかかるあたりで、その種が明かされる。やっぱり、そういうことだったか。
ニコラスのみならず、「ヘルボーイ 」シリーズのロン・パールマン、そして伝説の名優クリストファー・リーらが惜しげもなくスクリーンを飾る本作。リアリティを追及するのではなく、純粋にファンタジー要素を楽しむことを目的とした、この暑い夏にスカッとする一品だ。
監督:ドミニク・セナ
脚本:ブラギ・シャット・Jr.
出演:ニコラス・ケイジ/ロン・パールマン/クレア・フォイ/クリストファー・リー
配給:角川映画
公開:7月30日(土)、全国公開
公式HP:http://devilquest.jp/
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