シネマピア
スリーデイズ
『ミリオンダラー・ベイビー 』、『クラッシュ 』のポール・ハギス監督が『すべて彼女のために』(08年フランス、DVDタイトル『ラスト3デイズ〜すべて彼女のために〜 』)を完全リメイクし、主演にラッセル・クロウを迎えて挑んだサスペンス・アクション。
愛する妻子と三人で、ごく普通の幸せな生活を過ごしてきた大学教授のジョン(ラッセル・クロウ)。しかしある日、殺人容疑で妻のララ(エリザベス・バンクス)が逮捕されてしまう。
妻の無実を信じているにも関わらず、不利な証拠ばかりで殺人罪が確定。そこで夫が下した決断、それは「妻を脱獄させること」だった……。
冒頭、衝撃的なシーンがスクリーンを覆う。その一見すると非人道的に見えるその行為は、のちに登場する善良そうな夫が引き起こしたものとは到底思えない。時系列がそのシーンに追いつくのは物語後半近くなのだが、その過程でようやく「それ」が起こった理由が紐解かれることになる。
そんなに上手く物事が進むわけない、というのを無理矢理進めさせる手法はハリウッドのオハコであり、本作もその魔術にたっぷりかかっているかのようだ。
が、人生の一大決断を決行するその男はただのガテン系ではなく、芯は一般の善良市民、しかし研究職ゆえアタマは切れる。瞳や仕草だけでその怯えた心の内を表しつつ、練りに練った計画で追手を煙に巻くラッセルの演技にただただハラハラさせられっぱなしで、文字通り「手に汗握って」しまうのだ。
そしてラストがニクいのなんの。スクリーンに自分が飛び込んで行って、あれの続きをしてあげたい衝動に駆られてしまってしようがないのだ。
ただ、できればもう少し、どんな不利な証拠が妻の罪を確定してしまい、なぜ覆すことが出来なかったのか、そのあたりの法廷での具体的描写等があれば物語が持つ深みがもっともっと深くなっただろうに、とは思ってしまったが。
とはいえ、その点を差し引いても十二分に楽しめるエンタメ大作。家族とともに鑑賞すれば、感動も倍になることだろう。
監督・脚本:ポール・ハギス
出演:ラッセル・クロウ/エリザベス・バンクス/リーアム・ニーソン
配給:ギャガ
公開:9月23日(祝・金)より丸の内ルーブル他全国ロードショー
公式HP: http://threedays.gaga.ne.jp
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