シネマピア
サラリーマンNEO 劇場版(笑)
天下のNHKらしからぬキレと毒とで、世のサラリーマン諸氏のハートを人知れず鷲掴みにしてきた異色コント番組が、その人気を見越してかはたまた大勝負に出たか血迷ったか、堂々の劇場版を仕掛けてきた。小池徹平、篠田麻里子といった非レギュラー陣を加えた大衆狙いで、日本映画界に突撃をかける。
万年業界5位の座に甘んじるNEOビール社。「シェアNO.1を目指せ」という、無謀とも言える社長(伊東四朗)の命令に、中西課長(生瀬勝久)率いる営業一課は、新入社員の新城(小池徹平)共々、粋なアイデアを繰り出せず苦戦していた。だがある日、新城がふと口にした企画が通ってしまい……。
このテレビシリーズの持ち味は、なんと言ってもシニカルな笑いだ。サラリーマンたちの日常を基本設定にしつつ、それをハチャメチャに誇張し、あり得ないキャラクターを散りばめて奇想天外な世界を作り上げてしまう。コントならではの短い時間設定でこそ生きてくるこの醍醐味だが、長時間の劇場版で果たしてこの味が出せるものかどうか。
実はこっそり本シリーズのファンで、タイマーまで設定して毎週必ず見るようにしているほどの本シリーズにゾッコンの私は、そんなことを危惧しながら試写に臨んだのだ。果たして結果はといえば……。着地点が少々歪んでいるようだが、これはもしかして監督の実体験に基づくもので、本作をその免罪符としたかったのでは? などと勘ぐってしまうが、確かに監督の狙いどおり、心温まる爽やかなサクセス・ストーリーを軸に、随所にギャグ要素を散りばめ、大衆受けしやすい作品に仕上がっている。
だが、あのシリーズ特有の大笑いできる箇所といえば、予想していたより少なく、数か所のみ。小池徹平と篠田麻里子、この両名が出てくると知った時点から予想はしていたが、「大衆寄り」にかなり近づきすぎてしまった感は否めない。また、小池徹平と池田鉄洋の図式から、どうしても『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』がリンクしてしまって頭から離れない。
監督も当初、「長編とオムニバス形式と、どちらにするか迷った」そうだが、これならオムニバス形式のほうが良かったのでは……と思いきや、クライマックスに差し掛かるとあのキャラのあれで大爆笑! これだけでもう、「観て良かったです」と言えちゃう満足感。
そして今回、サントリーとのタイアップで「レッドロマンス」なる新ジャンル飲料も登場。あの場面を思い出し笑いしながら、チビチビグビグビやる秋の夜長も悪くない。
あ、そうそう。エンドロールが始まっても席は立たないことをお薦めします。
監督:吉田照幸
脚本:吉田照幸/羽原大介/内村宏幸/平松政俊
出演:小池徹平/生瀬勝久/田口浩正/中越典子/入江雅人/篠田麻里子/伊東四朗/麻生祐未/宮崎美子/平泉成/沢村一樹
配給:ショウゲート
公開:11月3日(木・祝)より、新宿ピカデリーほか全国ロードショー
公式HP:http://www.neo-movie.com/
あそびすと記者会見:小池徹平に生瀬勝久、篠田麻里子に郷ひろみまで登場!
©2011「劇場版サラリーマンNEO」製作委員会
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