シネマピア
ペントハウス
ベン・ステイラーとエディ・マーフィ、二人のコメディスターが夢の初共演。しかも舞台はマンハッタンにそびえ立つ最高級マンションの最上階のペントハウスという豪華極まりない本作。昨年のウォール街でのデモも記憶に新しい貧富の格差を背景に、ただのドタバタ劇ではなく、スリリングなストーリー展開も見事な痛快作だ。
セントラル・パークを見下ろし、優雅に佇む65階建ての「ザ・タワー」。一握りの富裕層のみが居住を許される最高級マンションだ。マンションの管理マネージャーであるジョシュ(ベン・ステイラー)は住人たちの様々な要望に応えるこの仕事に誇りを持って日々の業務をこなしていた。
だがある日、ペントハウスに住む大富豪を誘拐しようとする輩の動きを察知し救出に向かおうとするが、その大富豪の正体は詐欺師だったのだ……。
格差社会への不満が(一部で)声高に叫ばれる昨今だが、自らの努力不足を棚に上げ、何でもかんでもお上のせいにして自分の人生への責任を放棄する物乞い連中とは真逆なのが、本作の登場人物たちだ。犯罪の素人集団だからこそやることなすことトンチンカンで間抜けなお茶目さんたちだが、だからこそそこがまたイチイチ面白い。
ターゲットの悪者はその大富豪だが、単なる金持ちではなく、悪事で金を儲けたホンモノのワルモノ。ただのやっかみや勘違いの平等観で富豪の金を狙うのでなく、誰もが同感するれっきとした勧善懲悪に基づいたストーリーなのだ。
看板であるベン・ステイラーとエディ・マーフィの掛け合いも見事。根っからの真面目役のベンと、超不真面目なエディ・マーフィの化学反応が素晴らしい。『トロピック・サンダー/史上最低の作戦 』等で俳優のみならず脚本・監督もマルチに行う21世紀のコメディの顔ベンと、『ビバリーヒルズ・コップ 』、『星の王子ニューヨークへ行く 』等で20世紀を代表するコメディスターとなったエディが一緒のスクリーンで立ち回るなんて、コメディファンにはたまらない光景だろう。無論、他の名優たちのキャラも際立っており、退屈する隙がない。
宝くじにでも当たらなければ住めないような豪華なその建物の、中から外から隈なく疑似体験できる本作。今年が良い年になるような気がする、縁起物の一品だ。
監督:ブレット・ラトナー
脚本:テッド・グリフィン/ジェフ・ナサンソン
出演:ベン・ステイラー/エディ・マーフィ/ケイシー・アフレック/アラン・アルダ/マシュー・ブロデリック/スティーヴン・ヘンダーソン/ジャド・ハーシュ/ティア・レオーニ/マイケル・ペーニャ/ガボレイ・シディベ
配給:東宝東和
公開:2月3日よりTOHOシネマズ有楽座ほか全国にて公開
公式HP:http://penthouse-movie.com/
©Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED
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