シネマピア
ロボット
歌って踊って、そしてストーリーもハチャメチャなインド映画、ボリウッド。『ムトゥ 踊るマハラジャ 』が日本に一大ムーブメントを巻き起こしたのはもう10年以上前のことだが、今回はさらに強力な逸品が出来上がった。しかもジャンルはSF。凄まじいほどのバカバカしさに魅入られたのか、ハリウッドVFXチームも全面協力。世界興収100億円超、アジアNo.1ヒットの超大作がいよいよ上陸だ。
長年の研究の果てに二足歩行型ロボットを作り上げたバシー博士(ラジニカーント)。自分そっくりのそのロボットを学会で発表する博士だったが、成功したかのように思えるその裏で、恩師の教授は研究の先を越されたことから博士に嫉妬心を抱き始める。一方、忙しくて構ってくれない博士のかわりに、博士の恋人はロボットと行動をともにするが......。
ヒロインの女優を映す無駄なカメラワークといい、奇想天外なストーリーといい、満点のド迫力と緻密な演出で繰り広げられるアクションといい、全編にわたって観客を飽きさせず、笑いと驚きが絶えない。ラストなんかロボットの数がいつの間にか増えているのだが、そんなことにイチイチこだわっていたらこの映画は楽しめない。鑑賞中は潔くボリウッド教に入信すべし。
そしてボリウッド最大の特徴である歌と踊りもSFらしくテクノ調で、音楽の完成度も凄まじい。それもそのはず、『スラムドッグ$ミリオネア』でインド人初のアカデミー賞を受賞したA・R・ラフマーン作曲によるものだというから納得だ。ちなみに本サウンドトラックは発売2日間でアメリカ、イギリス、オーストラリアのiTunesチャートで堂々の1位を獲得したほどの人気っぷり。主役のラジニカーントがダンスにイマイチ乗りきれていないように見えなくもないが、それはそれでご愛嬌。
特筆すべきは、こんなにハチャメチャなのにも関わらず最後にハタと考えさせてくれる深いメッセージ性を備えていること。人間のエゴに振り回された果ての結末に、思わず涙しそうになる。
『ムトゥ 踊るマハラジャ』で主役を演じたラジニカーントが、本作でも博士役を熱演。あのころあの作品にムネアツだった人たちは、今回ますますパワーアップした本作にも間違いなく夢中になるだろう。
監督:シャンカール
出演:ラジニカーント/アイシュワリヤー・ラーイ/ダニー・デンゾンパ
配給:アンプラグド
公開:5月12日、渋谷TOEIほか全国順次公開
公式HP:http://robot-movie.com/
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