シネマピア
スノーホワイト
誰もが知っている童話「白雪姫」を独自の視点で練り直し、戦う白雪姫として実写化。白雪姫に『トワイライト』シリーズのクリステン・スチュワート、魔女の継母に『モンスター』のシャーリーズ・セロン、姫を守る戦士に『マイティ・ソー』のクリス・ヘムズワースといった堂々の顔ぶれが、この新たな物語を豪華に彩る。
マグナス王が統治する王国に、プリンセスとして生まれたスノーホワイト(クリステン・スチュワート)。母を亡くして1年後、新しい妃としてラヴェンナ(シャーリーズ・セロン)が迎えられたことから悲劇は始まった……。
そもそも「美」というのはかくも抽象的な概念で、ある一定の線を超えたらそこから先は趣味・好みの話だ。また、デブ専やオバ専といったジャンルがあるように、一般的な美の概念が当てはまらないマニアだっている。だから、「鏡よ鏡、世界でいちばん美しいのは誰?」と言ってミラーマン(注:手鏡使いで御用となった経済学者ではない)が「それはあなたです」と言ったところで、ただ単に「あなた」がミラーマンの好みに合致していただけの話だ。事実、きっと多くの人が、受け口一歩手前のクリステン・スチュワートよりも、(年増という点を除けば)完璧に整った顔立ちのシャーリーズ・セロンのほうを美人だと感じるだろう。だが、女とは業の深い生き物。そこまで冷静に真実を分析できているはずもなく、また、よしんばできたとしても目の前にいる者が自分のことをいちばんだと思ってくれなくては気がすまない。かくして、ミラーマンの好みがアゴナガ子ちゃんだったというただその理由だけで、この物語は成立しているのだ。
『トワイライト』シリーズのファンに配慮してかはたまた偶然か、またもやクリステンは二人の男から好意を寄せられる。途中まではなかなかよくできた実写だと思って観ていたが、後半、「え、そっち?!」と物語と違う展開に唖然とする。それについての説明がこれまたまったくないので、その理由を一生懸命考えてしまって、その後のおそらく美しくも本格的であろうアクションシーンがまったく頭に入ってこない。このシーン以降もすんなり物語についていける対象年齢は思春期より前といったところか。
中盤、『もののけ姫』を思わせるキャラも登場するが、これは東洋も西洋も共通なのか。そうした点も含め、全編に渡って魔法や戦闘のCGがリアルで鮮やか。さすがユニバーサル映画100周年作品で資金も潤沢にあると見え、この点は安心して楽しめる。
女性はなかなか老いを受け入れることができないが、もがけばもがくほど悲惨な結末となるということは、太古の昔から語り継がれてきた真実なのだ。だが、シャーリーズのような究極の美魔女を見ると、「もしかして、努力すれば私もこのままキープできるのでは……」とのほのかな期待も胸をよぎる。これはある意味、キャスティングミスなのか? 物語の教訓とは裏腹に、より一層アンチエイジングに励みたくなってしまう1本。
監督:ルパート・サンダース
脚本:エバン・トハーティ/ジョン・リー・ハンコック/ホセイン・アミニ
出演:クリステン・スチュワート/シャーリーズ・セロン/クリス・ヘムズワース/サム・クラフリン/イアン・マクシェーン/ボブ・ホスキンス/レイ・ウィンストン/ニック・フロスト/トビー・ジョーンズ
配給:東宝東和
公開:6月15日(金)TOHOシネマズ 日劇ほか全国ロードショー
公式HP:http://snowwhite-movie.jp/
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