シネマピア
崖っぷちの男
高層ビルから今まさに飛び降りようとする男。彼に一体、何が起こったのか? これからどうなるのか? 何が目的なのか? 『アバター 』のサム・ワーシントンが『トランスフォーマー 』の製作者とタッグを組んで贈る、スリリングなノンストップ・アクション・サスペンス。
マディソン街の名門、ルーズベルト・ホテルでの豪華な朝食を食べ終えると、男(サム・ワーシントン)は部屋中の指紋をふき取り、「潔白な身で逝く」という遺書を残し、窓の外の縁に降り立った。通行人の通報で到着したNY市警は、男に部屋の中へ戻るよう説得するが…。
日本では年間3万人が自殺する。変死者数は年間13?14万人にものぼるとのことだが、検死で自殺と認定できる作業量のMAXが3万人までで、実際の自殺者は3万人ではすまないという説もある。
実を言うと私の音楽業界の知人も今年初めに自ら命を絶っており、有名なアーティストにも曲を提供していたことからか、そのことがテレビのニュースにも流れた。それを知って以来、小心者の私は今でもテレビをつけながらでないと眠ることができない。自分が喋ったり一緒に飲んだりしたことのある人が自死するなど、彼のケースが初めてなのだ。人を殺すことがいけないことならば、自分を殺すこともまたいけないこと。他を殺していいのは自分が生き残るため、食べるためだけ。私は個人的にそうした持論を持っているが、故人の苦悩を思うと彼を責める気持ちなど浮かんでくるわけもなく、ただただ冥福を祈るばかりなのだ。
本作の主人公に自殺の意志はない。何か別の目的を持った「死ぬ死ぬ詐欺」である。高所恐怖症の方が見たら卒倒せんばかりの設定の中、徐々に徐々に明らかになっていく真実。自ら進んで見世物となっている男を、大胆なカメラワークを駆使してよりエキサイティングに見せ場を作っている。そうした絵面もそうだが、観ているこちら側の脳内の「???」が「!!!」に近づいていく過程のストーリー展開といい、お決まりのナイスバディ美女登場といい、最後にアッと思わせる仕掛けといい、これからの夏にふさわしく、老若男女誰が観ても楽しめるハリウッド型の極上エンタメに仕上がっている。ドキドキワクワクしたい方にはお薦めの一本。
監督:アスガー・レス
脚本:パブロ・F・フェンヤヴェシュ
出演:サム・ワーシントン/エリザベス・バンクス/ジェイミー・ベル/アンソニー・マッキー/エド・バーンズ/タイタス・ウェリヴァー/ジェネシス・ロドリゲス/キーラ・セジウィック/エド・ハリス
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン http://disney-studio.jp/
公開:7月7日(土)丸の内ルーブル他全国ロードショー
公式HP:http://disney-studio.jp/movies/gakeppuchi/
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