シネマピア
ロックアウト
2079年、宇宙で囚人たちをコールドスリープにより完全管理した監獄は、脱獄成功率0パーセントのはずだったが……。リュック・ベッソン製作・脚本、ガイ・ピアース主演で贈る近未来SF。
500人の凶悪犯達がコールドスリープで眠る刑務所、MS-1。宇宙に浮かぶその監獄に、視察のために訪れた大統領の娘(マギー・グレイス)。だが、些細なミスから囚人たちが目覚め、彼女は人質に取られてしまう。救出のために向かった元CIAエージェント、スノー(ガイ・ピアース)が、たった一人で凶悪犯たちに立ち向かうが……。
“『フィフス・エレメント 』から15年。リュック・ベッソンが再び描く、誰も見たことのない未来”。あたかもリュック・ベッソンが監督したかのように錯覚してしまう秀逸な宣伝コピーだが、ベッソンはあくまで製作と、そして共同脚本のうちの一人であり、監督は別人物によるもの。このあたりを期待している方々は、ぜひ間違いのないように劇場に足を運んでいただきたい。
SF好きにとってはワクワクする舞台設定であり、CG映像も壮大だし、アクションもキレてるし、ストーリーもなかなか込み入ってドンデン返しもあるし、人間関係のドラマもキチンと盛り込んである。いわば全部乗せのような、どこからどう食べても美味しいプロットだ。
だが、登場人物の行動が軽いというかなんというか、大統領の娘のガードマンがヘマばかりやらかすし、ただそのヘマがなければ物語は始まらないし、そもそもそんな人物がガードマンたりうる状況というのも説得力に欠けるきらいはあるし、囚人同士のドラマにしても感情を思い入れる回想シーンもなしにあっけなく終わりを迎えてしまうし……というわけで細部に少々詰めの甘いシーンは散見される。
が、そこは我らがガイ・ピアース。どこか『ダイ・ハード 』シリーズのブルース・ウィリスを想起させるコメディタッチで乱暴な言葉使いのキャラ設定で、どんな窮地もそつなくかわしてくれる。けれどもこれだって、あまりにも彼が強そうに見えて、何をやっても絶対に失敗なんかしないオーラがビシバシ出てるものだから、安心しきって鑑賞できてしまってハラハラドキドキ感がさほど感じられない。だがこれは私がピュアな心をどこかに置き忘れて穿った見方しかできない年齢になってしまったからだろう。あら探しばかりするよりも、少年少女の心で作品を楽しんだほうがお得というものだ。
どんなハイテクも、人間がそれを扱っている以上、やり方を間違えば一瞬でローテクに成り下がってしまうというメッセージをも含んだ本作。私の隣にはいつでもガイちゃんがいてくれる訳ではないのだから、いろいろと心しなければ……と、生き方の襟を正してくれる一品。
製作:リュック・ベッソン
監督:スティーブン・レジャー&ジェイムズ・マザー
脚本:スティーブン・レジャー&ジェイムズ・マザー、リュック・ベッソン
出演:ガイ・ピアース/マギー・グレイス
配給:松竹
公開:11月23日(金)全国ロードショー
公式HP:http://lockout.jp/
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