シネマピア
世界にひとつのプレイブック
妻に浮気された男と、夫に先立たれた妻。心が壊れた男女が惹かれあい、反発しあい、そしてそれぞれの心を再起させていくハートウォーミングなラブ・コメディ。「ハングオーバー! 」シリーズのブラッドリー・クーパーが躁状態の男を、『ハンガー・ゲーム 』のジェニファー・ローレンスが面倒くさい性格の女を、そして大御所ロバート・デ・ニーロが父親役でしっかと脇を固める豪華キャスティングの本作。アカデミー賞の全演技部門8部門にノミネートされるという31年ぶりの快挙となったほか、世界中の各賞を総なめにしている大・大・大話題作だ。
妻の浮気で心を病んだパット(ブラッドリー・クーパー)が精神病院から退院する。完治したとはいえない精神状態で実家での療養を続けるが、突飛な行動に父(ロバート・デ・ニーロ)も母も困惑する毎日だった。そんな折、友人宅のディナーパーティーに招かれたパットは、外見は美人なのに内面は思いっきりブスのティファニー(ジェニファー・ローレンス)と出会う。最近夫を亡くしたという彼女だったが、その振る舞いや発言にパットは面食らってしまう。だが、ひょんなことから彼女とダンス・コンテストに出場することになってしまい…。
ブラッドリー・クーパーの壊れてる感がヤバイ。ヤバイんだけど大笑いしちゃう。「ハングオーバー」でブレイクしたのはやはりコメディに親和性があるからだろう。アブナイ人がだんだんと別人のようにジェントルになっていく過程も胸熱モノだ。
実年齢22歳のジェニファー・ローレンスが未亡人を演じるなんてミスキャストでは? なんて不安はまったくの杞憂だったことにも気付く。確かに肌のツヤやシワのなさからは若い印象を受けるが、ナチュラルなその表情は憎ったらしさを存分に醸しだし、ドラ猫みたいな視線で観る者を圧倒する。顔はカワイイのに表情がブス。その絶妙な役どころを、水を得た魚のように生き生きと演じる様に、ただただ圧倒される。
「プレイブック」とはアメフトの戦略本の意。昨今ではライフハックなるものが流行っているが、凡人はノウハウコレクターで終わってしまい、肝心の人生はまったく変わらないままだったりする。人生のプレイブックなんてどこにも売っていないが、それは確かに各人の心の中に存在する。誰だって完璧なんかではない。壊れたこの2人は極端に映るが、少なからず、我々だってどこかに欠陥があり、それと上手に付き合いながら毎日を生きている。そんなすべての人々に小さな“希望”を与えてくれる本作。
今年のアカデミー賞候補作は政治がらみの作品が多い中、唯一のラブストーリーである本作。アカデミー賞の結果が楽しみだ。
原作:マシュー・クイック『世界にひとつのプレイブック』(集英社文庫)
監督・脚本:デビッド・o・ラッセル
出演:ブラッドリー・クーパー/ジェニファー・ローレンス/ロバート・デ・ニーロ/ジャッキー・ウィーヴァー
配給:ギャガ
公開:2月22日(金)よりTOHOシネマズシャンテ、TOHOシネマズ六本木ヒルズ、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー
公式HP:http://playbook.gaga.ne.jp
あそびすと記者会見:ブラッドリー・クーパー登場! 黒木メイサも!!
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