シネマピア
ウォーム・ボディーズ
イケメン・ゾンビ男子が、キュートなニンゲン女子に恋をした! アメリカ全土が熱中するスーパーボウル開催の週末公開でありながら、若い世代からの圧倒的支持で興行収入初登場第1位を記録したほか、世界52カ国でも公開が決定しており、全世界にイケメン・ゾンビ旋風が巻き起こりそうな本作。ゾンビ目線でゾンビ生活の困難や苦悩を赤裸々に告白しながら綴る、まるでゾンビ版「ロミオとジュリエット」のようなゾンビ・ラブコメの登場だ。
謎のウィルスにより、人類の大半が死滅した近未来。街にはまだ肉が残っているゾンビと、ゾンビの進化形であるガイコツがあふれ、生き残ったニンゲンたちは高い壁で囲ったシェルターの中で武装しながら暮らしていた。イケメン・ゾンビ男子、その名も“R(アール)”は、動きが鈍く、言葉もうまく発せず、生きていたころの記憶も戻らない自分に自己嫌悪の念を抱きながらも、親友のおっさんゾンビと会話にならない会話を交わしたり、お気に入りのレコードを聴いたりとそれなりにゾンビ生活を送っていた。そんなある日、ニンゲン女子のジュリーに一目惚れし、死に絶えた心臓が動き出すような衝撃を覚えたR。彼女を他のゾンビから守るため、あらゆる手を尽くすRだったが……。
……と、ざっとあらすじを書くだけでも充分に魅力的な本作。設定の斬新さもさることながら、人間(ゾンビ?)ドラマとしての細やかな心理描写、どうでもよさそうなところでも余すことなく微に入り細を穿つ描写でイチイチ笑わせてくれる。クリーチャーと人間との恋物語というと、ともするとヴァンパイアものの「トワイライト」シリーズに似通った作りになっちゃうか? と危惧されそうな設定ではあるが、本作のゾンビはその体組成からしてヴァンパイアとは異なっているため、正体を隠して人間のように振る舞うことが容易でないし、何がどうなっていたのかトワイライターにしか思い出せないほど登場人物が多くて複雑な人間関係でもないし、またあちらにはないふんだんなユーモア、それもとてつもなくセンスのいいユーモアで満ち溢れているので、そのような心配はまったく必要ない。
そして本作を語るうえで決して外せないのは、ニコラス・ホルト演じるキュートなイケメン・ゾンビである。『アバウト・ア・ボーイ』(2002)で主演のヒュー・グラントを食うほどの好演を見せたあの少年が、それはそれはナイスなガイに成長。ゾンビのくせにイケメンで人懐っこくてコミュ力抜群で、時折ニンゲンを食らうことはあるが性格はフランクで愛とユーモアにあふれている。Rを見て萌え死に、キュン死にする女子が巷にあふれるのは、もはや時間の問題だろう。
原作:アイザック・マリオン「ウォーム・ボディーズ ゾンビRの物語」(小学館文庫)
監督・脚本:ジョナサン・レヴィン
脚本・原作:モイラ・バフィーニ
出演:ニコラス・ホルト/テリーサ・パーマー/ジョン・マルコヴィッチ
配給:アスミック・エース
公開:9月21日(土)シネクイント他全国ロードショー
公式サイト:dead-but-cute.asmik-ace.co.jp
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