シネマピア
オブリビオン
エイリアンの攻撃で壊滅した地球で、高度1000mの上空から地球監視業務を遂行する男。だが、ある日墜落した宇宙船で眠る美女を発見した日から、すべての均衡が崩れた......。『マイノリティ・リポート』以来のSF映画出演となるトム・クルーズが、『猿の惑星:創世記』のプロデューサー、そして『トロン:レガシー』の監督と組んで贈る、SFアクション・スリラー。
2077年。エイリアンからの攻撃を受け地球が壊滅したことから、人類は他の惑星へと移住を果たした。そんな中、ジャック(トム・クルーズ)とその妻ヴィクトリアは地球に残り、監視業務にあたっていた。そんなある日、謎の宇宙船が地球に墜落する。中に乗っていた美女が呟いたのは、何故かジャックの名だった......。
さすが『トロン:レガシー』の監督なだけあり、臨場感あふれ、かつ美的にも申し分ない素晴らしい映像だ。ストーリーもなかなか考えられており、トムが10年ぶりに選んだSF作品だけある。前半はジャックと妻しか"人間"の登場人物がいないのだが、言葉を発しない偵察機がどこか人間の顔に見えなくもなく、単なる独り言に過ぎないはずのトムのセリフが、より人間味を増して聞こえてくる。
そんな"飽きもせずに楽しめる"はずの本作だが、あえて難点をいくつか挙げてみる。一つは、『ミッション:インポッシブル』シリーズ等々、今まで出演してきた作品でトムが最強のヒーローだったためか、はたまた演出のなせる技か、たまは単に私の感性がスレてるだけなのか、アクションシーンでの緊迫感がさほどないのだ。安定の「今回もトムは絶対大丈夫」感が払拭できず、なかなか手に汗握ることができない。二つ目は、真実の種明かしが、ホンの数行のセリフだけで語られてしまったこと。物語の設定を覆すほどの事柄なのだから、せめて回想シーンの一つや二つは欲しかった。それがあればトムの驚愕の表情にもより説得力が増しただろうに。三つ目は、重鎮モーガン・フリーマンの存在感やら何やら......と挙げることはできるが、重箱の隅をつついてばかりいてもより良い鑑賞の助けにはならないので、このへんで口を慎むことにする。
SFアクション・スリラーであり、また恋愛映画としても、純愛のみならずドロドロとした三角関係の様相も呈している本作。他の作品名を挙げて「『○○』に似ている」等の評価がネット上には散見されるが、それは物語の根幹を成す部分でもあるので、もちろんそれには触れないでおく。前知識なしで、素の状態で劇場に赴き、新鮮な驚きに出会われることをお薦めしたい。
監督・原作・製作:ジョセフ・コシンスキー(『トロン:レガシー』)
製作:ピーター・チャーニン(『猿の惑星:創世記』)、ディラン・クラーク(『猿の惑星:創世記』)
出演:トム・クルーズ(『ミッション:インポッシブル』シリーズ)、モーガン・フリーマン(『ダークナイト ライジング』)、オルガ・キュリレンコ(『007/慰めの報酬』)、アンドレア・ライズブロー(『ビトレイヤー』)、メリッサ・レオ(『ザ・ファイター』)
配給:東宝東和
公開:5月31日(金)、TOHO シネマズ 日劇 他全国ロードショー
公式サイト:http://oblivion-movie.jp/
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