シネマピア
LUCY/ルーシー
普段は10%しか機能していない人間の脳。それがもしも、100%覚醒してしまったら…?! 『レオン』『ニキータ』『フィフス・エレメント』のリュック・ベッソン監督と、『アベンジャーズ』シリーズのスカーレット・ヨハンソンが強力タッグを組んだ本作。『ダークナイト』シリーズのモーガン・フリーマン、『オールド・ボーイ』のチェ・ミンシクといった実力派スターもガッチリと脇を固め、予測不能の超絶ワールドが幕を開ける!
ひょんなことから、台北でマフィアの闇取引に巻き込まれてしまったルーシー(スカーレット・ヨハンソン)。マフィアたちの命令に背くことなどできず、自らの体に未知の物質を埋め込んで密輸を行なうことになった彼女。だが、不測の事態が発生してその物質が体内を駆け巡る……!
……と、「!」を多用して文章を書きたくなってしまう本作。なんというか、リュック・ベッソンはこれ、趣味で作ったでしょ? というくらいやりたい放題。観ているこっちはとにかく驚きの連続なのである。ベッソンは脚本も手がけており、本作の設定同様、摂取が禁止されている何かを体内に入れながら作ったのでは? と疑うくらい、とにかくブッ飛んでいる。「予測不能」というのもまったく宣伝文句どおりで、なんというか……まぁ、理論立ててストーリーが展開していない。まったく違う映画の予告編を連続して観ているような錯覚に陥る。だが、そこはそれ「予告編」なだけあり、映像そのものはトコトン大迫力で、とにかくスリルとスピード感に溢れていて飽きがこない。リュック・ベッソンなだけあって資金は潤沢らしく、ブッ飛びカーチェイスで車が何台も何台もオシャカになっていく。VFXにもふんだんに予算がつぎ込まれているのだろう、ド肝を抜く映像の数々には不自然さなどひとつもない。途中、ヨハンソンとフリーマンが何やら話をするが、脳の秘密の何たるかを観客に説明するわけでもなく、ただただ観念的、哲学的な会話で、まるでバーで酒でも飲みながら交わす雰囲気ものの会話で観客を煙に巻く。
だが、我々が睡眠時に夢を見るときは、まったく突飛なストーリーにも関わらず、なんも疑わずに場面転換を受け入れているはずだ。それと同様、本作もここまでブッ飛んだストーリーなのに、疑う余地も入れさせず映像が猫の目のように変化し続けていく。これはホンモノの実力を持つリュック・ベッソンだからこそ成せるワザ。シリアスな内容にも関わらず、まるでジャンルがコメディかのような錯覚さえ覚える。1作で何粒でもいろんな味が楽しめる、まるで魔法のような映画だ。
夏の暑さを吹き飛ばすのに、そして夏休みの宿題をまだやっていない子どもたち(と言ってもPG12なので、12歳未満のお子さまは成人保護者の同伴が必要)とその親にとって、そして現実社会でイヤなことに直面している方々にとっては、いっときの現実逃避のために最適の作品。とにもかくにも、すべてを忘れられるほど爽快に楽しめるSFアクションなのだから。
監督・脚本:リュック・ベッソン
出演:スカーレット・ヨハンソン、モーガン・フリーマン、チェ・ミンシク
配給:東宝東和
公開:8月29日(土)、TOHOシネマズ 日本橋ほか全国公開
年齢区分:PG12
公式サイト:http://lucymovie.jp/
©2014 Universal Pictures
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