シネマピア
シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア
重鎮から新参まで、新旧とりまぜた年代(?)のヴァンパイアたちが共同生活。皿洗いやら掃除当番やら、果ては人間を襲う際の作法まで――ひとつ屋根の下に暮らす彼らの、奇想天外なシェアハウス生活とは……? トロント国際映画祭を初め数々の国際映画際で観客賞を総なめにした、他人事とは思えない共感ずくめの傑作ホラー・コメディだ。
現代のニュージーランドで、一軒家をシェアしながら暮らす4人のヴァンパイア。家賃も払い、家事もこなし、快適な生活のために彼らなりのルールを課してつつましく生きてきた彼ら。長らく生きてきたからか個性もそれなりに強い面々だが、そこは同じヴァンパイア同士、時に喧嘩しながらも家族同然に暮らしてきた。そんなある日、新入りヴァンパイアが5人目の家族として加わることになり、その均衡が崩れ始める……。
こいつら、そのへんにいそう――。モキュメンタリータッチで映し出される映像は、そんなふうに自然に思わせてくれる脱力のリアリティ。肩ひじ張らず、芝居じみてもいず、そのへんにいそうなダメダメおやじをまんま映し出しているかのようだ。
本作の製作はアメリカでもイギリスでももちろんハリウッドでもなく、ニュージーランド。そのニュージーランドでも屈指のコメディアンたちが、アドリブをふんだんに盛り込んで作り上げたというのだから驚きだ。
タイトルからしてトム・クルーズの『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』のモジリだし、『トワイライト』シリーズのごとく狼男たちとは仲が悪いし、『ぼくのエリ 200歳の少女』でも象徴的なシーンとなった「入って」と言葉で言われなければ他人の建物に入ることができない性質等々、あらゆる箇所に過去や現代のヴァンパイア関連のパロディを織り交ぜてある。そうした古典的なエッセンスと、現代に生きるヴァンパイアならではの生き方や苦悩。ファッションや趣味こそ“生きていた”当時そのままで古めかしいが、それも現代人から見たら逆にとってもチャーミング。
人間を襲うシーンだってドジぶりを発揮して茶目っ気たっぷり。殺人シーンなのだからグロいのでは……と怖気づきそうだが、心配ご無用。我々だって魚を三枚におろしたり、牛や豚の肉をぶった切って調理して食べたりするではないか。それ同様、彼らにとって人間の血は食糧なだけ、ただそれだけなのだから。
監督・脚本・出演: タイカ・ワイティティ(ホビットシリーズ×ニュージーランド「壮大すぎる機内安全ビデオ」監督)、ジェマイン・クレメント(『メン・イン・ブラック3』出演)
出演:ジョナサン・ブロー、コリ・ゴンザレス=マクエル、スチュー・ラザフォード、ジャッキー・ヴァン=ビーク
配給: 松竹メディア事業部
公開: 1月24日(土)、新宿ピカデリーほか全国ロードショー!
公式サイト:www.shochiku.co.jp/swv
©Shadow Pictures Ltd MMXIV
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