シネマピア
ラン・オールナイト
マフィアも、警察も、N.Y.中が敵! 殺し屋稼業の父親が、一人息子を守るために一晩中駆けずり回る――。『96時間』シリーズでアクション俳優としての座を確立したリーアム・ニーソンが、衰えることのないキレッキレのアクションをまたまた見せつけてくれた!
殺し屋という仕事のために家族を捨てて生きてきたジミー(リーアム・ニーソン)。父親とは真逆に真っ当な仕事に就くマイク(ジョエル・キナマン)は、そんな父親を毛嫌いし、自分の妻や子供たちからもジミーを遠ざけてきた。そんなある日、マイクは殺人現場を目撃してしまう。口封じのために犯人から追われるマイクを、父親のジミーは懸命に救おうとするが――。
『96時間』では、リーアムは元CIA工作員を演じ、娘を守り、娘に尊敬されるかっこいいパパで、敵はただの悪党、シリーズ化もされた。本作ではそうした設定を真逆にし、リーアムは飲んだくれのダメ人間、息子を守り、その息子から嫌われるパパで、敵は親友(しかも大御所エド・ハリス)で、続編も(恐らく)ない。元CIA工作員ではないので我々がアッと驚くような技も特にないが、バッキバキのアクションをこなし無敵の父親像を魅せまくる。鉄板の力強いリーアムは健在だ。
ただ、細部の詰めの甘さがないこともない。特に、パトカーの窓ガラスがコンクリートブロックの一撃で簡単にバリンと割れてしまったのには興醒めしてしまった。車の窓ガラスなんて強く作ってあるのだから、一撃だけなら蜘蛛の巣状にヒビが入るだけで終わるだろう。割れて粉々になるためには何回も強打しなければいけないはずなのに。
宣伝コピーの「N.Y.中」も、何気に誇張の感がある。そう謳うなら、マフィアが市民を脅して従わせてリーアムを騙す……そんな描写もほしかったところだ。
……といった些末なことはさておき、伏線もちゃんと回収されているし、意外なところでしっかり仁義を果たそうとするあたり、根っからのダメ人間ではない。実際、世の中には完璧な父親などほんの一握りなのだろうから、『96時間』よりも本作のリーアムの方が大多数の共感を得やすいだろう。来月は父の日だから、ちょうどいい公開時期でもある。日ごろの父子の確執が、この映画を機にほぐれたりしたら……なんとも素敵なことではないか。
監督:ジャウム・コレット=セラ『アンノウン』
脚本:ブラッド・イングルスビー『ファーナス/訣別の朝』
出演:リーアム・ニーソン『シンドラーのリスト』『フライト・ゲーム』、エド・ハリス『アポロ13』『ポロック 2人だけのアトリエ』、ジョエル・キナマン『ドラゴン・タトゥーの女』『ロボコップ』
配給:ワーナー・ブラザース映画
公開:5月16日(土)全国ロードショー
公式サイト:run-allnight.jp
©2015 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
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