シネマピア
ターミネーター:新起動/ジェニシス
シュワちゃんの『ターミネーター』が帰ってきた! 知らない人などいないはずもSFアクション映画の金字塔『ターミネーター』シリーズ。『ターミネーター』『ターミネーター2』は当時弱冠30歳のジェームズ・キャメロンが監督・脚本を手がけ、アーノルド・シュワルツェネッガーを一大スターに成らしめた傑作。そのジェームズ・キャメロンが、「本作は自分にとっての『ターミネーター』3作目だ」と賛辞を贈るのが本作だ。
2029年、ロサンゼルス。ジョン・コナー率いる人類抵抗軍は、人工知能の中枢部にとどめを刺そうとしていた。だがそれを察知した人口知能は、ジョンの母親サラ・コナーを殺すため、時間転送装置を使いターミネーターを1984年へと送り込んでしまったが——。
1作目を超えたクオリティだとして伝説になった『ターミネーター2』、通称T2。確かにこれがラストかのような素晴らしい出来で、その後に『ターミネーター3』(2003)、『ターミネーター4』(2009)と製作されはしたのだが、T2を超えることはできなかった。満を持しての本作が実質としては5作目となるのだが、『ターミネーター』シリーズの生みの親であるジェームズ・キャメロン自身は、過去の『ターミネーター3』も『ターミネーター4』もすっ飛ばして本作を『ターミネーター3』と認めた形だ。本作にはまったく関わっていないにも関わらず、だ。
一時はカリフォルニア州知事となり、政治家として一線の活躍を成し遂げたアーノルド・シュワルツェネッガーだが、本作では(意外にも、と言っては失礼だが)きちんと俳優として機能している。ご自慢の筋肉隆々の格闘シーンもそれなりにこなしているし、顔にしわも増えて年をとったターミネーターも自然な設定で納得させてくれる。
アーノルド・シュワルツェネッガー以外は、役者全取っ替え。もしかしてシュワちゃんのギャラが高すぎたからなのか……と下衆の勘繰りもしたくなってしまう。ジョン・コナーもサラ・コナーも当初の役者とあまり似ていない。似ていればいいってもんでもないのだろうが、新しい顔に抵抗をなくすまでに時間がかかってしまう。ジョン・コナーは一目見ただけでイワクツキっぽく、キャスティング自体がネタばらしなんじゃないかと思ってしまうし、サラ・コナーは脂肪率が高そうで、顔も童顔すぎやしませんか。
……と、初期作に思い入れがあると作品の根幹ではないところまでどうしても目についてしまう。だが、本作のストーリーや演出自体はなかなかの出来だ。1作目・2作目へのリスペクトシーンもふんだんで、特に新・旧のシュワちゃん同士の戦いには感動すら覚える。次回作もまた狙っているのか、ラストの処理が甘すぎるのが玉に瑕だが。ともあれ、新生シュワちゃんに素直に乾杯だ。
・監督:アラン・テイラー(『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』、「ゲーム・オブ・スローンズ」シリーズ)
・脚本: レータ・カログリディス、パトリック・ルシエ
・出演:アーノルド・シュワルツェネッガー(T-800 役)、エミリア・クラーク(サラ・コナー役/「ゲーム・オブ・スローンズ」シリーズ)、ジェイソン・クラーク(ジョン・コナー役/『猿の惑星:新世紀(ライジング)』)、ジェイ・コートニー(カイル・リース役/『ダイ・ハード/ラスト・デイ』)、イ・ビョンホン(T-1000 役/『G.I.ジョー バック 2 リベンジ』)、J・K・シモンズ(『セッション』本年度アカデミー賞助演男優賞受賞)ほか
・配給: パラマウント ピクチャーズ ジャパン
・公開: 7月10日(金)全国ロードショー
・公式サイト:terminator-movie.jp
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