シネマピア
007 スペクター
ダニエル・クレイグ演じるジェームズ・ボンドの「007」シリーズ最新作『007 スペクター』。オープニングにはボンドを標的にした銃口のイメージを配し、本編も空に陸に縦横無尽に繰り広げられる骨太アクション、現代の英知を結集したスパイ小物の数々、そしてお決まりのボンドガールとのロマンス。それらのみならず、前作までのボンドの葛藤や生い立ちのわだかまり、ストーリーの伏線などを洗いざらい回収するべく作り上げられた、原点回帰作だ。
年に一度の祝祭「死者の日」が繰り広げられるメキシコシティ。もちろん、ボンドはただの休暇に来ているわけではない。先ほどまで一緒に街を歩いていた美女にしばしの別れを告げ、標的へと向かうが……。
スペクターとは、007が長年戦ってきた国際犯罪組織の名称だ。ところがこのスペクター、権利問題での訴訟トラブルによって『007/ダイヤモンドは永遠に』(1971)以降はその使用に制限がかかっていた。今回は晴れてその問題が解決し、満を持しての再登場となったわけだ。このあたりのエピソードからも「原点回帰」への強い意欲が見え隠れする。
世界征服を企んでいる割には肝心の敵地中枢が意外にもアナログで隙だらけな印象だったこと、前作の「スカイフォール」の予習がないとただただボンドが凄いアクション映画にしか見えないだろうこと……などは少しばかり残念に思えたが、全体の骨子からいえば些末なことだろう。
冷戦が終わったので組織は用なしで解体寸前云々の設定は、「ミッション:インポッシブル」シリーズ等でももはやお馴染みの光景。だが本作ではこの設定にも後々に種明かしがある。
今作のボンドガールのメインは少女系のレア・セドゥ、サブは熟女系のモニカ・ベルッチの2人体制となっているが、特に少女系の椅子の座り方など、キャラの作り込みが細部にまで行き渡っていて思わずキュンときてしまう。
ダニエル=ボンドといえば今作も圧倒的にアクションが見事で、リアル感が半端ない。遠くの敵を銃で狙う所作や、動く敵に弾がなかなか当たらない描写など、よくある“映画マジック”ですべてを片づけてしまわないあたりが観る者の無意識に働きかけてハラハラドキドキ感をアップさせている。また、「原点回帰」の意識からか、今までのダニエル=ボンドよりもユーモア、茶目っ気が多く現れている。今流行りのギャップ萌えの、007アプローチ。これがなかなかに女心を(きっと男心をも)くすぐるのだ。
監督:サム・メンデス
脚本: ジョン・ローガン、ニール・パーヴィス&ロバート・ウェイド、ジェズ・バターワース
出演:ダニエル・クレイグ、クリストフ・ヴァルツ、レア・セドゥ、レイフ・ファインズ、モニカ・ベルッチ、ベン・ウィショー、ナオミ・ハリス
配給: ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
公式HP:https://www.facebook.com/JamesBond007JP/
公開:11月27日(金)・28日(土)・29日(日)先行上映、
12月4日(金)全国ロードショー
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