シネマピア
死霊館 エンフィールド事件
前作『死霊館』で、オリジナルホラー映画として『エクソシスト』に次ぐ史上2位の興行収入という歴史的ヒットを記録した、あの恐怖が再びやって来た! 『ソウ』『ワイルド・スピード SKY MISSION』のジェイムズ・ワン監督が、史上最長期間に及んだポルターガイスト(心霊現象)を戦慄の映像で再現した本作は、全米ボックスオフィスでも約4000万ドルのオープニング興収で圧巻の首位デビュー。どんなに怖がろうが、泣き叫ぼうが、目を背けようが無駄だ。あなたは逃げられない。これは実話なのだ。
1977年、ロンドン北部エンフィールド。夫と離婚した母は、4人の子どもたちを女手ひとつで懸命に育てあげていた。そんなある日、家の中で奇妙な物音がし始め、家具がひとりでに動いて家族を攻撃するようになる。人知を超えたその現象は、次第にエスカレートしていき......。
タイトルがどことなくB級寄りなため、なんとなく食わず嫌いになっていた自分を私は恥じた。感動して涙が出てしまうホラーなんて、誰が想像しえただろう? 本作は確かにジャンルとしてはホラーに位置づけられるだろう。それは間違いない。だが、その根底には"愛"が流れている。前作に引き続き"現象"を調査する中心人物のウォーレン夫妻(この夫妻もまた実在の人物)の夫婦愛。悪さをする霊にターゲッティングされ、徐々に疲弊していく少女と、彼女を守ろうとする家族や周囲の愛。そうした人間ドラマが、役者たちの感情あふれる演技でつぶさに描かれている。だからこそ観ているこちらは彼らに感情移入でき、「あんな可愛い子に、なんて惨いことを!」と、恐怖は憎しみにさえ変わる。生きていようが死んでいようが、この世のものだろうがあの世のものだろうが、酷いことをするヤツは許せるわけがないのだ。かくして、本作はホラーの域を超えて"ヒーロー映画"にもなりえている。
また、"実話"と謳ってはいるが、夫妻を悩ませる修道女(あまりの形相に私には男に見えたのだが)の下りは監督のオリジナル要素だ。それを絡ませることによってミステリーの側面が加わり、ただの驚かせたり怖がらせたりするだけのホラー映画とは一線を画している。ストーリー性のあるひとつの作品としても、十分に評価に値するのだ。
本作は前作の続編との位置づけではあるが、本作は本作で単体として完結しているので、前作を知らなくても全く問題なく楽しめる作りとなっている。
一時期はジャパニーズ・ホラーに押され気味だった洋物ホラー界だが、ここに来て一気に巻き返しに出てきた。最近の日本のホラーは、特に女子キャラたちがキャラ立ちしすぎて、逆に恐怖感が薄れた気もするようなしないような。夏といえばホラー、ホラーといえば夏なので、エコの観点からも、背筋を確実に寒くしてくれる恐怖を、ぜひ劇場でどうぞ。ホームシアターとは違い、照明が落ちて観客席が暗くなり、本編が終わるまで決して逃げ出せない劇場で、ぜひ。
監督:ジェイムズ・ワン
原案:チャド&ケイリー・ヘイズ、ジェイムズ・ワン
脚本:チャド&ケイリー・ヘイズ、ジェイムズ・ワン、デイビッド・レスリー・ジョンソン
出演:ベラ・ファーミガ、パトリック・ウィルソン、フランシス・オコナー、マディソン・ウルフ、フランカ・ポテンテ
配給:ワーナー・ブラザース映画
公式サイト:www.shiryoukan-enfield.jp
公開:7月9日(土)新宿ピカデリーほか全国公開
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